第8話

最初に狩りをしてからもう2ヶ月も経った。


俺、この村を出るんだなぁ。


もう七年もすんでたのか。


「ルイ!」


時間だな。


外に出ると、村の皆が見送りのために集まってくれていた。


「頑張れよ!」


「応援してるぞ!」


と言ってくれた。


「父さん」


「ルイ…言ってこい」


その言葉は村の人達の言葉よりも心に響いて。


だから笑顔で


「言ってきます!」


村を出た。


◆◆◆


村を出て一ヶ月が経った。


いろんな街を経由して向かっている。


だが、まだまだ王都までは遠い。


今、なんたら伯爵の領地を抜けたところだ。


少し休憩するか。


念の為、雷結界も張っておく。


そうそう、余談だが、料理スキルを習得した。


硬いパンと干し肉じゃあ味気無いからな。



料理(1/5)


・調理・初級



こんな感じだな。


ないよりはましってぐらいだな。


おっともうこんな時間だ。


じゃあ、おやすみ。


◆◆◆


2ヶ月と半分が経った。


もう少しで王都に着く。


王都にはどんな物があるんだろうか。


お城も見てみたいな。


前世では写真でしか見たことないからな。


そんな事を考えていると、常時展開している索敵スキルに魔物が引っかかった。


旅の途中にも何度か引っかかったが、無視していた。


一々相手にしていると体力が持たないからな。


だけど今回は戦わないといけなそうだ。


人間が襲われている。


相手はオークとその上位種、ハイオークだ。


どうやら、豪華な馬車が襲われているらしい。


急いで駆けつける。


出会い頭に、《剣聖術》で創った魔剣ゼノンでオークの首をバターのように切り落とす。


「誰だ!」


「話は後です!状況を教えて下さい。」


「……分かった」


一番強そうな人が、一瞬逡巡したあとに了承した。


「向こうは、オーク二十体とハイオーク二体。こちらは三十人。内、怪我人が十二人。」


「分かりました。俺がハイオークを相手にしますんで、あなた方はオークをお願いします。」


「だが、君は子供だろう!?」


「任せてください!」


「……分かった!」


指示を出したあと、ハイオークに向き直る。


どうやらいきなり現れて仲間を切り落とした俺を警戒しているようだ。


先手を取ったのはハイオークだ。


持っている大剣をがむしゃらに振り回してきた。


それを、未来視で未来を視て避ける。


全然当たらない事に痺れを切らしたのか、二体同時に襲ってきた。


「切断術」


そう言って魔剣を振り抜く。


一体は体を真っ二つにされ、絶命した。


もう一方は辛うじて腕を身代わりにして生き延びた。


他のスキルも試してみよう。


「魔聖気金剛」


その瞬間、体から黒と白のオーラーが溢れ出し、爆発的に力が上昇した。

気分が高揚する。


「うおおおおぉぉぉお!!」


ドパンッ!という、殴って出た音とは思えない音がなり、ハイオークの上半身を跡形もなく消滅させた。


フゥー終わったな。


向こうはどうなった?


見てみると、一番強そうな人が剣を最後のオークに突き立てた。


「終わったみたいですね。」


「あぁ。それはそうと君は一体何者だ?」


警戒されてるな…。


そりゃそうか。いきなり現れて指示し始めた子供だもんな。俺。


「俺はルイって言います。小さい村から王都の学園の入学試験を受けに行く途中で襲われているところに遭遇しました。」


「学園…てことは君は7歳か!?冗談だろう!?」


「本当です。」


「まじかよ…。俺はローザーだ。よろしく」


「よろしくです。」


「そういえば怪我をした人がいるって言ってましたよね。」


「そうだな。」


「治癒します。魔法が使えるので。」


「本当か!?頼む!」


そして案内されたが、予想以上にひどかった。


腕を失っている人や、足が失くなっている人がいた。


今持っている治癒じゃ治らないぞ。


そうだ!


さっきレベルが5つ上がったから、獲得したSPで何かできないか?


おっ!これだ。


【回復術】取得っと。


残ったSPで【回復術】の熟練度を上げる。



回復術 (5/5)


・体力回復


・治癒


・範囲指定


・状態異常回復


・部位欠損再生


よし!これならいける。


まず範囲指定で軽い怪我している人を指定する。


傷が浅い人には治癒を使う。


ついでに体力回復も使おうか。


回復術を使った人はみるみるうちに傷が消えた。


次は、ひどい怪我をしている人達だ。


また範囲指定をして、部位欠損再生を使用する。


すると、腕が再生された。


「これは…すげぇな…。」


隣でローザーが呆けていた。


「大丈夫ですか?ローザーさん。」


「いや、すまん。ここまでとは…。」


そんなやり取りをしていると、おおおぉ!!ありがとう!!という声が聞こえた。


どうやら、俺が腕や足を治した人達が言っているらしい。


それはそうと…


「ローザーさん」


「ん?何だ?」


「あの馬車って」


「馬車?あ!お嬢様!」


いきなり大声を出して馬車がある方に向かっていった。


何なんだ?

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