第11話 バグ
駅の男子トイレの個室で用を足して出ようとしたところ、荷物置きに漫画が置き忘れられているのに目に付いた。
トイレの忘れ物に触れることに抵抗は覚えたものの、元来大の漫画好きである私は何となく表紙に目を惹かれたこともありつい手に取ってパラパラと捲り始めた。
そしてすぐにあることに気が付く。
その漫画の主人公の行動が今朝起きてからの自分の行動と全く同じなのだ。
最終ページ、主人公が駅でトイレに入るところでその漫画は終わっていた。
これはどうしたことだろうか。
何かしらの理由で私の人生がこの漫画にリンクしているのか、何者かが私の生活を覗き見て漫画にしているのか。
それにしても凝り過ぎている。
私は適当な思い付きで試しに最後のページを破り取り、それを適当な途中のページに挟み込んでみた。
その瞬間唐突に意識が飛び、気が付くと私は電車の中で右乳首と左太腿を露出し顔中ヨーグルト塗れで頭に豚の生姜焼きを載せて佇んでいた。
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