第7話 ウラシマだろう?

ある日ある時ある場所で一人のエージェントの話


日課のトレーニングのため、浜辺へとやってきたとある組織のエージェント【ウラシマ】

一人の女性が亀の様にうずくまり、男どもに襲われていたのであった。

理由もわからず、どちらが正しいのかもわからず、ましてや自分は正体を悟られてはいけない身の上。

しかし、見過ごす事は出来なかった。

男たちを一瞬で無力化すると女性を助け出し、その場を離れるのだった。


「どなたか存じ上げませんがありがとうございました」

「人として当然の事をしたまでです」

「ぜひお礼をさせてください お名前を聞いても?」

「ウラシマといいます」

「事情は後で説明します 私と一緒に来てください」


彼女の正体はエージェント【タートル】であった。

男たちは敵対勢力であり、彼女から情報を引き出す為、連れ去ろうとして抵抗されていたのだった。

目撃者を野放しにはできず、お礼という名の軟禁目的でウラシマを誘うのであった。


船に乗り沖に出たところで船が沈み始めた……

潜水機能付き船舶であったのだ。

どう考えても普通ではないので、ウラシマは彼女へと質問をしたのだ。

「あなたはいったい……」

「プロジェクト龍宮」

「まさか ただの都市伝説だと思っていた」

「当然です 国家レベルのプロジェクトでありそれを知るのは極一部」

「あなたも同業でしょう?あの手際は一般人ではあり得ない」

「流石にバレるか……」

「本来であればあなたも処理対象ですが……私を守り機密漏洩を防いでいただいたので、特別に招待する事になりました」


ウラシマは海底都市【龍宮】へと招待されたのだ。

龍宮では管理者【乙姫】により歓迎され、夢の様な時を過ごすのであった。

しかし、ウラシマはエージェントであるが故、一日でも連絡が途絶えると当然問題が発生する。

乙姫には自分はエージェントである事は伝わっているはず、ここを出られる可能性は低いだろうが、交渉をすることにしたのだった。


「乙姫 お礼は充分すぎるほど受け取った 私はソロソロ戻りたいのだが……」

「残念です それでは手土産をお持ちください」


意外にも即帰れるらしい……この手土産……何かあるな……受け取らないと出れないんだろうなぁ……

手土産を受け取り浜辺へと送り返されたウラシマ。

しかし、彼の予測は当たっており、中身は無味無臭の遅効性神経性毒ガスであり、浜辺へ降りたときにはウラシマの記憶は失われていた。


「ウラシマ?ウラシマだろう?」

連絡が途絶えたウラシマを探して、組織のエージェントが来ていたのだった。既にタートルの姿はなくただ一人ウラシマのみであった。


解説

はい浦島太郎です。

不思議仕様を多少現実的にしたらこうなりました。

子どもたちには難しかったようです。

長くなるとダメですね。

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