第4話 脱出

一方、港は大混乱に陥っていた、上流階級を乗せている事が各シェルターにばれたのである。

シェルターにいた人達は一斉に港に押し掛け、船に乗ろうとする。

あまりの暴徒と化している姿に何隻が先に出航し始める。まだ乗れるというのに・・・


「船を戻せ!」

「俺達を見捨てるのか!」

「落ち着け!命令に従わないと撃つぞ!」

軍人が実力行使に出ようとするが、逆に銃を奪い混乱が大混乱に変化する。


船は定員以上乗り込まれ、出航出来ない状態ながら無理矢理出航し始める。


護衛艦達は戸惑いながらもコロニーから出てきた船を護衛しつつ、退却を始める。

未知の艦隊の追撃を受けながら・・・


俺はその光景を冷静に見ていた。

「ライ、船が・・・住人が・・・」

アヤカは口を押さえショックを受けているようだった。


「わかっているがどうしようもない、ダーイ、火気管制は?」

「60%だ!」

「・・・フウマ!いつでも、出れるようにしておいて。

ヒキ、一気に出力最大はいけるか?」

「おう!」

「厳しいな、70%までにとどめてくれ。」


「ダーイ、俺の合図と共に前の扉を吹き飛ばすぞ。」

「了解、照準良し、いつでもいける。」

「少し待て!」

俺は少し待つ、敵の艦隊が少し離れるのを待っていた。

それは他の船を囮にする行為でもあった。


「ライ、何ででないのよ。」

アヤカは不満そうに俺に訴えてくる。

「今出ても敵に囲まれるだけだ、チャンスを待つ。」

「でも、その間に民間船が・・・」

レーダーから消えていく、民間船をアヤカは見つめている。

「ライ、この船は軍艦何でしょ、戦える筈よ!」

「アヤカ!俺は無駄死にする気もないし、それにみんなを付き合わせる気も無い。

必ずチャンスは来る。」

「でも・・・」


アヤカは優しい所がある、罪なき人が死んでいくのに耐えられないのだろう・・・

だが、俺が狙っているのは敵の旗艦だ、俺はレーダーをじっくり眺め敵の旗艦に目星をつける。

コロニーに隊列を組み、ゆっくり近付いて来ている艦隊が本隊で、俺が狙うべき旗艦は其処にあるだろう。


艦隊の多くが民間船を追って、間が出来ている。

あと少し、瞬間で迫れれば一撃を加えて敵を混乱させれる。

俺に汗が流れる。

遅くても駄目だし、早くても駄目だ、緊張の瞬間だった・・・


「今だ!ヒキ出力最大。」

「了解、70%だ!」


「ダーイ、正面の扉を撃ち抜け!

フウマ扉を撃ち抜いたら、全速力でこの敵旗艦と思われる艦に向かえ!」

「主砲発射!」

「了解!スラスター最大出力!」

「行くぞ!出航だ!」


俺達は入口ハッチを打壊し、宇宙へと出航した。


敵はいきなり現れた俺達に混乱しているのか動きに乱れがある、しかし、各艦それぞれ砲撃を向けてきていた。

「フウマ、シールド展開!」

「了解、シールド展開!」

シールドは敵のビーム砲にびくともしない。

「優秀なシールドだな、ダーイ、敵旗艦までに邪魔な艦に副砲にて応戦、主砲はエネルギー充填、旗艦を捉えたら教えてくれ。」

「おう!」


ダーイは副砲で敵を牽制しながら、照準を敵旗艦に合わせている。


「シールドエネルギー、80%に低下!」

「ライ!捉えた射程内だ!」


「主砲発射旗艦を沈めろ!!」

「了解、主砲発射!」

主砲が発射され、シールドを突き破り、敵旗艦の艦橋に命中する。


「ダーイ良くやった!さあ逃げるぞ!」

その時艦が大きく揺れる!


「ミサイル被弾、損傷・・・航行に問題無し、いや、シールドが展開出来ない!」

フウマの報告に冷や汗が流れる。

ミサイルが来たのは絶妙のタイミングだった、主砲を使った事によるエネルギーの低下、そして、シールドで防げない物理攻撃のミサイルでくる。

本来なら副砲で対応すべきだが、ダーイ一人で無理矢理制御している今の状況では、最大射程で敵旗艦を狙っていた為にダーイの手が回らなかった。

その上、レーダーを担当する者もいない、明らかに人手不足だった。

「すまないライ!」

ダイは被弾を謝る。



「いや、仕方ない、

ヒキ!修理は可能か!」

「駄目だ、すぐには直せねぇ!」


シールドを張れない俺達は敵からの被弾を更に受ける。


「第2区画被弾、隔壁下ろします。」

「ダル、回避運動を!」

「了解!」

ダルは回避運動を行う事で、被弾は減るが速度が落ちる。


「敵、包囲が迫って来てます。」

「クッ!」

其処にコロニー連合艦隊からの砲撃がある。

どうやら、コロニーの救援に来た軍のようだった。

しかし、見る限り数は少なく、攻勢に出れているのは敵の旗艦が大破したせいだろう。


だが、俺はこのスキを逃さなかった。

「全速前進、最高速度で逃げるぞ!」


俺の大宇宙への旅は逃走から始まるのだった・・・

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