第5話 慰め

 そんなこんなでいじめの相談相手がいなかったわたしは、日々の思いを『詩』としてメモ帳に書くようになりました。その中身の一部は、カクヨムで連載中の『思いつきのうた』に載せています。


 どうして「詩」を書こうと思ったのか?

 今考えてみても理由は定かではありません。ただ誰にもバレずに思いをぶつけられるものとして考え得るものが、当時それしかなかったのかもしれないですね。


 そちらに載せていない詩を1つ、ここに載せておこうと思います。確か、これは当時書いたものです。




 独り旅


 独りで ただ黙々とやるだけの日々

 やるせなさと淋しさだけが 心を巣食う闇となる

 周りと自分

 対比しようがないはずの対象であっても 僕は比べずにはいられない

 たった独りで戦う日々は

 空しく さびしさが残る

 「誰か」と呼ぶ声すら枯れて 息も出来ない程に打ちひしがれた

 この僕に 光はやって来るの?

 光はいつか この心を明るく照らしてくれるだろうか

 わがままで独りよがりだと 蔑まれてしまうであろうこの心

 口にすれば怒鳴られてしまうだけのこの気持ち

 独りで全て抱え込むのは やっぱり さびしくて辛くて……

 光を求めて歩く街道

 まだ電灯もついていない

 歩くこと それが心の充電になるのだろうか




 いやあ、暗い(苦笑)

 まあ、当時はこんなものです。自分の殻に閉じこもることでしか自分を守る術を知らず、思いを書くことで吐き出していました。


 そんな日々を過ぎ、わたしは2年生に進級します。クラス替えがあり、いじめのような目に合うことは少なくなりました。前回書いた告白事件は、2年生になってからだったかと思いますが。

 友だちと過ごし、落ち着いてきてほっとしたように思い出します。


 この先はおそらく、多くの高校生と変わらない日常です。しょうもないことに笑い、勉強して成績に一喜一憂して、放課後や休みの日に遊ぶ。そんな、ありふれているけれども素直に楽しい日々でした。

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