第4話 親

 ○先にお断りしておきます。

 ここから先、このエピソードはわたしが普段口にしない(ここ重要)、悪口に近いことを書き綴っています。あ、今までもそうかもしれませんね。

 ですので、不快な思いをされる可能性があることをご了承下さいませ。


 わたしは、親にいじめられていることを話しませんでした。話さなかったというよりは、話しても無駄だと考えていたように思います。

 現在、テレビでいじめられていた子が自殺したというニュースが流れると、親は決まって言います


「どうして、親御さんに相談しなかったんだろう」と。


 それを聞く度、思うのです。


「あなたは、助けを求めても気付かなかったじゃないか」と。



 新たな中学に転校した後の中学1年生のある時、祖母の家に泊まりに行きました。いとこ家族もおり、わいわいと過ごしたように思います。


 そこで、母親がわたしに「学校は楽しいか」と問いました。

 わたしは「前の学校の方がよかった」と答えました。すると母親は、言うのです。「なんてことを言うの」と。「育ててもらっているのに何様なの」と。


 わたしは、その剣幕の意味がわからずに戸惑いました。戸惑い、怯えて小声で「ごめんなさい」というより他はありませんでした。


 母親にとって、夫(わたしにとっては父親)はヒエラルキー第1位の絶対的存在ですから、娘という最下位の者が夫を否定することが許せなかったのかもしれません。そうでなかったのだとしても、その時からわたしは家族を信頼出来なくなりました。


 今思えば、わたしの言葉足らずだったのかもしれません。

 いじめられていることを打ち明けたら何を言われるのか、怖かったのですから。きっと、大ごとになると恐れていたのでしょう。

 小さ過ぎるSOSが届くことは、ついにありませんでした。両親はとっくの昔にこのことを忘れているでしょう。


 話は変わりますが、大学受験の時の話を少しだけ。

 わたしはとある国立大学を目指していました。ある時、休憩としてマンガを読んでいた時のことです。

 部屋に入って来た母親は、わたしに「そんなことをしていたら落ちるんじゃない?」と冷たく言い放ちました。この言葉を言ったことを、母親は覚えていません。前に覚えているか確かめましたから。

 否定の感情をぶつけられたと考えたわたしは、その通りに本腰を入れて勉強することを止めました。結局志望校は受けることも出来ず、浪人しました。元々、偏差値的に難しいと言われていましたけれど。

 翌年、とある女子大を勧められましたが、女子の集団が苦手なわたしは受験したものの本気で合格する気になりませんでした。女子によい思い出がなかったからです。結果、勉強したいことの出来る私立に進みました。


 今でも、両親に相談することや頼みごとをすることは大の苦手です。否定されて来たという人生の経験が幾つもあるので、また否定されることが怖いのです。

 学生時代に「小説家になりたい」と言ったことがありましたが、親には「結婚してからでも出来るでしょ」と釘を刺された思い出があります。つまり、結婚しなければならない(ダメだ)と言われたように感じました。


 母親のことばかり書いていましたね。


 父親は……あまり色々と強くは言わない人です。ただ、テレビや町角で出会う知りもしない赤の他人を見て自分と比べ、自己満足をしているとわたしは思っています。容姿や年齢などを気にしている節がありますね。

 例えば、テレビで少し目の位置が違う人がいたとします。別にそれ自体個性ですから、言う必要もないことです。

 しかし父親はそれを指摘して、わたしなどに「変だよなぁ?」と尋ねます。わたしは「で?」と大抵は返して終わりますが。

 あまり、聞いていて気持ちの良いことではありませんしね。いつも聞く度、モヤモヤとします。


 互いに不器用なのかもしれません。きちんと意見をぶつけてこなかった私の落ち度もあるでしょう。

 また親の悪口ばかりで、お前も親と同じじゃないかと言われるかもしれません。面と向かって言わないだけ、マシだと思ってください。言えば母親にヒステリックに怒られるのは目に見えていますし、他人のことをどうこう口に出すほど自分が出来た人間ではないことくらいは百も承知していますから。


 しかしこのエッセイでわたしは、自分本位で話を進めています。ですから、お叱りを受けるかもしれません。

 それでもこれはわたしの体験・気持ちですから、思ったことをそのまま、未熟なまま書き殴ります。不快な思いをされたとしたら、そっとページを閉じてくださいね。


 別段わたしは、自分が「こんな親のもとで育ってかわいそうでしょう?」「ほら、こんなにも頑張ってるんですよ」と言いたいわけではありません。念のため。

 母親は料理上手で朝早くから起きて家の中を綺麗にして下さいます。父親は定年後も新たに仕事を続け、家族のために動いて下さっています。

 そして二人とも、わたしを育てて下さいました。そこに対して恩があると思っています。

 ただ、わたしが自分の意思を持って生きること、考えることを許して欲しいですけれどね(笑)


 わたしが言いたいことは、子どもは親の何気ない言葉で深い傷を負うということです。いじめと同じで、言った本人は覚えてなどいなくても、言われた方は人生に影響するほど覚えているものです。

 この原因が、良く言えばわたしが繊細だからなのか、わたしのメンタルが弱いからかは定かではありませんが。


(このエピソードが最長になってしまいました。)

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