第14話

 ローサは私に手紙でソニアの様子を細かく教えてくれている。母はジョシュア様とソニアの婚姻に乗り気みたいで父に直談判しているらしいわ。


ソニアも父にジョシュア様と私の婚約を代えて欲しいとこの間言ったみたい。けれど父が頷く事が無かったせいかソニアは実力行使に出たらしい。


 公爵家主催のお茶会の席でソニアの婚約者であるアレキサンダー様に婚約破棄すると宣言したとかで大騒ぎになったらしい。主催者である公爵様の顔を潰しても平気なのね、ソニアは。しかも4度目は婚約破棄。もう貰い手が無い。


無理をしてでもジョシュア様との結婚を迫るのね。


 時期を同じくして母から私宛に準男爵家や伯爵家等の釣書を次々と送ってくるようになったわ。どれも20歳以上の年上だったり、女の人を家畜のような扱いする男だったりと訳ありで有名な人達の釣書ばかり。


金で私を売る気なのがわかる。私を売ってソニアの婚約破棄の賠償金に当てるつもりなのかしら。私は母からの手紙をずっと無視し続けている。


嫌い。嫌い。嫌い。


あの人達とは関わりたくない。


やはり、私は家を出たい。出るべきだわ。





 私は押し迫る貴族としての立場や責任に苦しくて動けない日も自分に言い聞かせながら勉強して、勉強して勉強に逃げた。


今は平日は学院の勉強をし、週末には王宮の薬草園へ出向いて薬師の人達に教えを請い、貴族籍を抜ける為に頑張っている。


今は、家には帰りたくないの。

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