ポッキーの日
【冬君、ゆっき、空君、翼のポッキーの日】
サクッ。
サクッ。
ちゅ。
サクッ。
サクッ。
ちゅ。
サクッ。
サクッ。
ちゅ。
ちゅっ。
ちゅちゅちゅ。
「ちょっと、待て?!」
「何?」
私は弟の方を振り返る。
「姉ちゃんも兄ちゃんも何やってるの?」
「ポッ●ーの日だから。どうせならって、ポッキーゲームを少々」
「どうせならじゃないよ! 後半、ポッキー関係なかったでしょ!」
「やる?」
「俺達がやるわけないでしょ! ゲームのジャマだから――」
「空と翼ちゃんって言ってないじゃない。私と翼ちゃんが、だよ」
「……」
「じゃぁ、俺と空君?」
「へ?」
思わず、冬君の顔を見る。イタズラ大成功と言わんばかりに、満面の笑顔を浮かべていた。
「「絶対、だめー!」」
私と翼ちゃんの声がシンクロしたのだった。
【先輩たちのポッキーの日】
「瑛真ちゃん。ポッキーゲームってポッキー1本を早く食べた方が勝ちってルールでしたよね?」
「音無ちゃん、それ違うから。わざと言ってるでしょ?」
「あー。今頃、上川君達、ちゅっちゅちゅっしてるんだろうなぁ」
「ポッキーゲームは、ちゅっちゅが目的じゃないから」
※作者注1 あながち間違ってない。
「ちょっと練習してみましょうか?」
「はぁ?」
「ほら、殿方と巡り合った時、臆してたらダメじゃないですか。何事も予習は大事ですよ?」
「違う予習がしたかった……」
「さぁ、さぁ。本当にキスしちゃうわけじゃないんだから。瑛真ちゃん、女は度胸ですから!」
……。
……。
……。
「……お、美味しい」
「た、食べられた……」
「瑛真ちゃん、もう一本食べない?」
「いや、それ、もう戻られなくなるヤツ――」
「ただのゲームよ? そんなに照れなくても。
「だから、ちょ、音無ちゃん、やめ、あぁ、んんっ、やん――」
※作者注2 小説ってビジュアルが出ないから便利ですよね(マテ
【とある夫婦のポッキーの日】
「大地さん?」
「うん?」
「ポッキーゲームしよう?」
「えぇぇ?」
「何よ? イヤなの?」
「イヤとか、そういうことじゃなくて。いや、この歳でそれは、ちょっと恥ずかしい……」
「昔高校生の時は、大地さんが私に執拗に迫ってきたよね」
「……う、それは忘れて」
「生徒会長が、そんなことできるわけないじゃんって、突っぱねていたけど――やったら、ヤンキーの大地さんがチキンだったと」
「……」
「空のヘタレさって、大地さんの遺伝だよね。雪姫の思い切りの良さは、私かなぁって思うけど」
「え? 雪姫? 雪姫がポッキーゲーム?」
「何を当たり前のことを。雪姫だって、それぐらいするわよ。もっとスゴイことだって上川君と……って、大地さん? 大地さんてば。私とポッキーゲームしてよ。フリーズしてないで、大地さんってばー!」
※作者注3 【とある夫婦のポッキーゲーム】冒頭に戻ります。
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