狩人のご飯事情

七星北斗(化物)

プロローグ 今日は大物が捕れました。

 少し世間知らずで、食いしん坊な狩人であるエヴァは、息を殺し、草むらで獲物がくるのを待つ。


 タイナーの森には、野生のいろんな動物であふれている。


 土を体に擦り付け、木の葉や木屑をすりつぶした液体を、体全体に塗りつけている。


 もちろん風下に潜み、いつでも弓を引ける準備をしている。


 森にはいくつか罠を仕掛けた。


 獲物が足で罠を踏み抜くとバネの力で罠が作動する、くくり罠と呼ばれるものを四ヶ所仕掛けている。


 獣道のすぐ近くの草むらに潜むこと数時間、だんだん足が痺れてきた。


 ……ぐぅぐぅ、すやすや。


 ビクッ、ビックリした。


 ガサッ、葉っぱを踏む蹄の音がした。


 あの三本の角はネルコサ鹿だ。


 ネルコサ鹿は、素早い動きで突進することを得意とする。


 大物!?エヴァはキラキラした目で、ネルコサ鹿を観察していた。


 まだ…まだ…もう少し…まだ…今だ。


 ネルコサ鹿に向けて、エヴァは矢を放った。


 矢はネルコサ鹿の皮膚を貫き、肺に刺さったようだ。


 ネルコサ鹿は口から血を吐いた。


 しかし、まだネルコサ鹿には余力が残っている。


 エヴァの居場所に気づいたネルコサ鹿は、蹄にカッカッカッと力を入れて突進してきた。


 ざぁーっと、エヴァは体を土に滑り込み突進を躱す。


 躱しながら、すれ違いざまにネルコサ鹿に矢を放った。


 ネルコサ鹿は、左右の肘の間から血を吹き出して、バタンと地面に倒れた。

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狩人のご飯事情 七星北斗(化物) @sitiseihokuto

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