九尾きつねと化けたぬきの仲良しコンビ、街の小さなケーキ屋さんで働いてみました【絵本風】

後編 いそがしクリスマス、うれしいおみやげ

　朝（あさ）になりました。

　街（まち）のもみの木や、とおりのどこもかしこもクリスマスのイルミネーションがされ、ますますムードが出（で）てきましたね。

　クリスマスイブまで、とにかく時間（じかん）がありません。

　早起（はやお）きした、おばあさんと妖怪（ようかい）コンビの九尾（きゅうび）きつねと化（ば）けたぬきは、おでかけしました。

　お目（め）あては、クリスマスケーキづくりの材料（ざいりょう）です。

　新鮮（しんせん）なたまごや、牛乳（ぎゅうにゅう）にイチゴやお砂糖（さとう）や小麦粉（こむぎこ）。

　おばあさんのしりあいの牧場（ぼくじょう）や農園（のうえん）などに買（か）いに行（い）きました。

　それぞれ、はいたつしてもらうことにしました。

　それからは、もうもうたいへん、おおいそがしです。

　スポンジのしこみをしたりオーブンで焼（や）いて。

　クリームをカシャカシャあわだてたら、もこもこあまぁいデコレーション。

　ルビーのようにキラキラ光（ひか）るいちごで、かざりつけをします。

　仲良（なかよ）しコンビの九尾（きゅうび）きつねも化（ば）けたぬきも、目（め）をまわしてしまうぐらいのいそがしさ。

（……あらあら）

　あまりのいそがしさに、ときどき、九尾（きゅうび）きつねも化（ば）けたぬきもしっぽが出（で）たりしたけれど、おばあさんはウフフとわらっていました。

　ケーキ屋（や）さんのおばあさんは、イケメンふたりがきつねとたぬきだと気（き）づいていたのです。

　そっとひみつにしました。

　よいしょ、よいしょ。

　フー、フー。

　おばあさんと九尾（きゅうび）きつねと化（ば）けたぬきは、クリスマスイブとクリスマスのぶんもケーキをせっせとつくりました。

　クリスマスイブとクリスマスのふつかかん。

　お目（め）あてのケーキを楽（たの）しみにしてお客（きゃく）さんが買（か）いにやって来（き）ました。

　たくさんのお客（きゃく）さんたちに、なんとか売（う）りおえました。

「ありがとう。ふたりともよくがんばりましたね」

　ふたりは、おばあさんとおわかれです。

　ちょっとさびしくて、ぐすんと泣（な）けてきました。

「メリークリスマス。お手伝（てつだ）いありがとう。ふたりとも里（さと）に帰（かえ）ったら、クリスマスのおいわいをしたらいいわ」

　おばあさんにもらったケーキをかかえ、なかまのぶんまで買（か）えた赤（あか）いきつねと緑（みどり）のたぬきをかついで、妖怪（ようかい）の里（さと）に帰（かえ）る。

　だいまんぞくの二匹（にひき）でした。

「「おばあさん、それじゃあ。また来年来（らいねんき）ます。さようなら」」

　そうなんです。

　二匹（にひき）はおばあさんと約束（やくそく）したから。

　今度（こんど）また、クリスマスにはお手伝（てつだ）いに行（い）くって。

　ほくほくほっこりした顔（かお）で、仲良（なかよ）しコンビの九尾（きゅうび）きつねと化（ば）けたぬき。

　クリスマスソングを歌（うた）いながら里（さと）に帰（かえ）りました。

　　　　　　　　　　終（お）わり