都合の悪い真実はかき消される

結局どれだけ憎んだって恨んだって強くなれるはずがなかった。動けすらしない状況でこのまま野垂れ死ぬしかない非力な自分が嫌いでたまらなかった。そんな僕は危機的状況に反応して覚醒した。覚醒すると身体能力が向上するなど特殊能力以外にも効果があった。力を練ることで攻撃を防いだり多種多様に渡り使えるという文献を見たことがあったがいまいち実感が湧かなかったが自分がいざ覚醒すると元からできていたかのように力が使える。力というのは魔力のようなものである程度応用が効く。公開されていなかったが覚醒者になってわかった人を殺すことで力の容量や質が上がるんだ。同じ覚醒者同士だと大まかな位置がわかるようになっている。ここら辺に覚醒者はいないようだ。俺の特殊能力は『殺した奴の能力を奪える』というものだった一先ず瓦礫をどかした。みるみるうちに傷が塞がっていく。俺は自分の部屋があったはずの場所から血のついてない服に着替え街までかけていった。僕たちの地域のことは早速ニュースになっていたが根も葉もない虚偽の事実報道がされていた。何か不祥事があったら権力で揉み消すヴィランや怪物のせいにする。そうして迷っていたものが完全に吹っ切れたヒーローを根絶やしにする。そのために弱い覚醒者からどんどん殺して力をつけていかないと幸いなことに覚醒視野の位置は大雑把ながら把握できるので早速凶器になりうるものを瓦礫の中から見つけ出した。一先ず若い芽から摘んで力を蓄えると共に犯罪を未然に防がないと。ワイヤーと包丁をパーカーの中に隠して熊谷暁人くまだにあきとの家へと足を運んだ。結果としては案外あっけなくやれた。他の家族が外出中だったらしく本人だけを殺すことができた。扉が開くと同時に喉を包丁で掻っ切り滅多刺しですぐ生き絶えた。俺がこんな冷酷だったなんてと驚く間もなく使えそうなものを漁った。包丁と鋸ついでに幾らかの金も拝借することにした。今回使った包丁はボロボロになったので置いておいた。足早にベランダから隣の家の屋根に飛び移り逃亡した。圧縮で縮めて戻せるようになったついでに力を圧縮させて放ったり意外と汎用性が高い能力だ。あと一人暮らしで身寄りがなさそうな人を見つけたのでこっそりついていって家の呼び鈴を押して出てきたところを頭を圧縮して殺した。尊い犠牲だった。死臭がすると困るので体も最小サイズに縮めて捨てておいた。これで当分の間住居が手に入った。次は食料だがこの人の家に保存食がたくさんあったのでしばらく安心だ。となると覚醒者を探すか運のいいことにこの人も覚醒者だったなんでわからなかったのだろうと思ったがこいつの能力が《隠蔽》というものだったからだろうこれで他の覚醒者にバレず逆にこっちからは筒抜けという状況ができた。今回は戦闘系じゃなかったけれども覚醒者を殺すなら子供の方がやりやすいな。幼稚園が近くにあったので《隠蔽》の派生系である《隠密》を使って侵入したそこには三人ほど覚醒者がいた。デコピンの力を圧縮して遠距離で体を弾け飛ばした。そいつらの能力は《スパイク》《融合》《エネルギー》だった。この力を使ってヒーローを潰す。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る