瞼の裏

素素sai

瞼の裏

なんにもなくて、なんでもあるところに行く方法を教えてあげる。

だれもが知っていて、わたしだけが知っている特別な場所。

もしかしたら、ほんとうは存在しないのかもしれない。


透き通っていてどこまでも見える。触れられるのに掴めなくて、気付いたら消えている。


「これはなあに?」


遠くからだと見えるのに、中に入ると見えなくなる。でもなくなったわけじゃない。


「それはなあに?」


目に見えなくて、触れているのに感じなくて、だけど当たり前にあって、なくなってはいけないもの。


「あれはなあに?」


さあ、まずは目を瞑って、そしてゆっくりと思考を溶かして、おやすみなさい。

きっと、おひさまが昇るころには、なにもかも忘れているわ。

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瞼の裏 素素sai @motomoto_rororo

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