同姓の美少女からファーストネームで呼ばれる

茶黒 

第1話

きっかけというのは、往々にして些細なものだ。

そして、クラスで人気の美少女とファーストネームで呼び合うことになったきっかけも例に漏れず──。





集中力が薄くなってくる六限の国語では、担当教師の体調不良により代理の先生が来ていた。

その先生がこのクラスの授業を担当するのは初めてで、クラスの生徒の名前は一人も知らない。

ある問題の答えを訊こうと、教室後ろ側の壁に貼られた、名字だけの席表から一人・・の名前が呼ばれた。


羽宮はねみや……さん? くん?」

「「……はい」」


一人は端正な顔立ちで、溢れんばかりの爽やかさを湛える男子。

もう一人はつぶらな瞳を持ち、あどけなさが残った可愛らしい顔の女子。

一組の男女が、同時に返事した。席が隣の彼らは、互いに目を丸くし、顔を見合わせた。


「──先生ー、羽宮さんは二人います!」


と、そこで一人の男子生徒が彼らをさておき、声を上げた。


「あ、そうなんですか──」


普通ならここで終わるミス、だったが……。

次の一言が、原因だった。




「──双子ですか?」




瞬間、クラス中の人が爆笑し、先生も冗談だと笑った。

その後だった。羽宮兄弟・・・・というあだ名がついたのは。

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同姓の美少女からファーストネームで呼ばれる 茶黒  @kuisa_913

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