49 いざ、ダンジョンへ(1)
「まさか、カブさんがダンジョンの場所を知っているとは思いませんでしたね」
「まったくだ」
ヤニムやマトン君が知っている可能性は考えましたが、まさかカブさんが知っているとは。
ですが、これでダンジョンの計画は立ちました。あとは、ダンジョンを攻略するメンバーの選定と、ダンジョン攻略を証明してくれる第三者機関が必要です。
例えば、冒険者ギルドとかですね。
ですが、私はだいぶ働いたので1回休憩です。家で小さくなったフェンとファオランを抱いて横になってます。
もふもふ天国です。
「ただいまー」
アダムが帰ってきました。おかえりなさい。
「お邪魔します」
「ナオキも一緒ですか。いらっしゃい」
ナオキはよくアダムと遊んでくれています。アダムにとってもお兄ちゃんのような感じなのでしょう。
「この村の生活は慣れましたか?」
「はい。王都にいた頃からは、考えられない生活です。ここの村は、人と人との繋がりに温かさがあります」
うんうん。そう言ってくれて私もとても嬉しいです。この村はみんないい人ですからね。
家に帰ってきたあとも、アダムは元気いっぱいなようで、ナオキとともに遊び続けます。
途中で騒がしさに目を覚ましたファオランも参戦したようで、家の中が大騒ぎです。
「壁に穴とか開けないでくださいねー」
「「はーい」」
まぁ開けても直ぐに直せますが。
子供達が楽しそうに遊んで、私はそれをのんびりと眺めている。平和ですねー。
「平和だな、主よ」
「私もちょうどそう思っていました。ですが、私の勘が告げているんですが……のんびりできてると思ったらすぐに問題が舞い込んでくるんですよ」
最近そのパターンが多すぎます。たまにはのんびりさせてください。
「力あるものの定めというやつだ、主よ。だが、我も主の願いであるのんびりと平和な日々を過ごすというのは好ましい」
「家族が出来ましたね」
そう言いながらフェンの頭を撫でます。フェンもお父さんですからね。しっかり家族を守ってあげてください。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
農作業も種うえが終わり、少しずつ暖かくなってきました。
ダンジョンに関してですが、メンバーの選定は完了しました。代表者はヤニムです。
ヤニムにした理由は、人間以外の他種族が攻略したとしても、人の国はあまり認めてくれないだろうというルールーの意見からです。
ただ、ほかのメンバーはスヤリス、バレンタイン、ナオキ、アダムと多種多様な種族が混ざってます。
天使、魔族、人間、生き人形ですからね。本当に色々です。
あと、冒険者ギルドに関してですが、目下交渉中と言ったところです。冒険者ギルド自体は中立な立場なんですが、王国内で独立しようとしているこの村に手を貸したとなると、中立の立場が崩れかねませんから。
メンバーは、ダンジョン攻略に向けて激しい訓練を行っています。バレンタインが教官ですが、各自、自分の得意なところを教えあっている感じですね。
訓練で強くなって、怪我ひとつなく帰ってきて欲しいものです。
とはいえ、私も訓練の様子を眺めているばかりではいられません。
ダンジョン攻略に関して、私はみんなの装備を作るお手伝いをしなきゃ行けないのです。
鍛冶師になるわけではないですよ。まったく経験がありません。私が行うのは金属に関してです。
この村にある金属は鉄のみ。これではいくら腕のいい鍛冶師がいたところで、大した装備は作れません。
そこで、鉄の中でも魔力を吸う部分だけを細かく集めていき、そこに私の魔力を流し込むことによって新たな金属を生み出そうという計画です。
さあ、みんなのためにも、張り切って作りましょう!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます