第7夜 受付嬢

「どうだね、結婚もしたんだし…いつまでも受付というのも…」

「退社…ですか?」

「いやいや、そんなわけないじゃないか…しかし…ね…若い子の就く仕事ではあるしね…キミも居づらいのかなと、いや余計な気遣いかもしれんがね…まぁ…うん…配置変えのときは、ひとつの基準になるかな」

「配置変更ですか…」

「まぁ、数ある選択肢の、ひとつだけどね」

「あの、困るんです…その…今の、お給料を維持できないと…」

「とは言われてもねぇ、受付嬢は、どうしても長く勤められる部署でもないしね…何年だっけ?」

「はい…8年になります」

「君が一番の年長者でね、いやもちろん、教育係として評価はしているんだよ」

「教育係ですか?」

「いや…まぁ、他の2人は、まだ2年足らずとはいえ、まぁ、もう教えることもないんじゃないか?」

「……」

「いや私も人事部長として、相談には乗るから、まぁ考えてみてくれ」

「はい」


「そうなんですか、それは大変ですね、実は営業でアシスタントを募集してはいるんですけど…」

「ホントですか?部長のですよね?」

「えぇ、僕のアシスタントです」

「お願いできませんか? 私、頑張ります」

「うん…アナタさえよければ…一応、業務内容を聞きますか?」

「はい」

「内密…ですよ」


「大口の接待と理解していただければ…悪い話ではないと思いますけど?」

「コレって…その肉体関係をってことですよね?」

「給料も、その分って条件ですが…新婚では無理ですかね? 無かったことにしてください」

「あの…考えさせてくれませんか?」


「あのねアナタ、私、配置変えになったの営業に…給料は上がるんだけど…定時ってわけにもいかなくなるみたい…受付って歳じゃないし」

「そうか…仕方ないんじゃないか」

「うん…頑張るわ…アナタのために…」



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