#27

 何故か今日は愛理さんがいつもより上機嫌な気がする。

 それもそのはず今日は2月14日、バレンタインデーだ。

 そしてそのバレンタインデーで上機嫌な愛理さんがいるということは何か仕掛けてくる。

 幸いにも今日は普通に登校日なので、学校にいる間は多分安心して過ごせると思うが……愛理さんだからな……

 不安を抱えながらもいつものように学校へと登校した。


「うわっ」


 俺の背の方向からその声と同時に大量に物の落ちる音がした。

 振り返ってみるとこの学校で有名な男が居た。

 各務 光大かがみ こうた、多分この学校一イケメンな人間だ。

 ラノベに出てくるかのようなイケメン具合で同学年は勿論、先輩方も惚れる美顔と性格の持ち主だ。


「あはは……高校でもかぁ……」


 あ、こいつ中学でもモテてたな。

 このまま無視しよう……

 そう思いこの場を離れようとした瞬間目が合った……

 明らか「手伝ってくれない?」とでも言いたげな視線をこちらに向けてくる。


「はぁ……」


「ありがとう」


 ちなみに言っておくが初対面だ。

 これがイケメン陽キャの力か?

 流石に俺が拾うのは気が引けたので袋を持ってるだけの係になった。


「中学でもこうだったのか?」


「あーうん、そうだったね」


「来年は誰か手伝ってくれる友達でも探しとけ」


「じゃあ来年のために友達になってくれない?」


「なんだその関係は」


 そんなんで友達になっても嬉しくないぞ。

 あと思ったんだがこいつ少し抜けてないか?

 靴箱の中も確認し全部なくなったことが確認できた。


「ほら」


「手伝ってくれてありがとう。これからよろしくね」


 チョコが入った袋を手渡し教室へ向かった。

 ……俺いつ仲良くなったんだ?

 知らぬ間に友達認定されている気がする。

 さてこのあと「友達とは」と検索かけないといけないな。

 自分の席に座ってからスマホを取り出してちゃんと検索しておいたがあまり良く分からなかった。









 さて俺は今とてもとても大変な状況になっている。

 簡単に今の状況をまとめると愛理さんに公開処刑されました。

 昼休憩になり昼飯食うかと思いながら席を立とうとした瞬間、愛理さんにチョコを渡されましたとさ。

 油断も隙もならない……

 取り合えず俺は受け取りすぐにバックの中へ入れた。


「勿論本命ですよ」


「ぶっw……あははははっ!あの樹がマヌケ面してやがる!」


「ふざけんな……」


 周りのクラスメイトは驚くと同時にこの瞬間を収めようとスマホを取り出し写真を撮っている。

 愛理さん……

 平穏な俺の高校生活は今ここで終わった。

 愛理さんは自重という言葉を知ってほしい。


「じゃあまあ二人は置いておいて俺が適当に説明するわ」


 勝手に京一が俺たちの関係を話し出した。

 もしかして愛理さんとグルだったのかこいつは。

 金で買われた説とただ単に面白がって俺のことをからかうためにやっている説があるがどうせ後者だろうな。

 帰ったら愛理さんに説教しないといけないな。

 クラスが勝手に盛り上がって中、俺は頭を抱えて机に顔を突っ伏した。




 最悪だ……

 俺は今の学校で一番安心できる時間帯に考え事をした。

 流石に授業中なら話しかけてくるやつも居ないだろう。

 なんで愛理さんはこのタイミングで俺たちの関係を明かそうと思ったんだ?

 確かにバレンタインは明かすには最高の機会かもしれないが……

 ……まさか朝から妙に上機嫌だったのは、バレンタインもあるが俺たちの関係をばらそうと考えていたからか?

 どちらにせよ、家に帰ったらすぐ愛理さんから問いだして説教することは確定だな。

 くっ、俺の平穏な高校生活がこうも一瞬で壊されると……ん?

 思えば紀里のせいで愛理さんがこの学校に転校するよりも前から悪目立ちしていないか?

 ま、まあそれとこれは別だと思い込もう。

 何を考えても俺自身を悩ませる種になるので、もう考えることを諦めた。




 放課後になり俺はすぐさまこの学校から逃げ出そうと教室を出たら何故か、各務がいた。

 こちらと目が合うと近づいてきた。


「友達記念日としてちょっと遊ばない?」


 え?なに?友達同士ってこういう感じなの?

 取り合えずこのままここに居ても他のやつらに取り囲まれるオチが見えてるので、逃げるためにも各務に付いて行くことにした。

 校門を出たあたりで再び声を掛けられた。


「これで逃げられたかな?」


「すまん、助かった」


「まあ僕も逃げないと……走らないとかな?」


 後ろを見てみると男女問わず様々な生徒がこちらへと向かってきていて色々と面倒なことになりそうな予感がする。

 各務が走り出したので俺もそれに付いて行く形で急いで学校から逃げ去った。




「流石にもう追ってこないだろ」


 俺らは取り合えずカラオケに逃げた。


「はー疲れた」


「お前を突き出して逃げれば俺は楽だったか」


「ちょっと!?友達を犠牲にしようとしないでよ!」


「利害関係の一致しない友達関係は嫌なんだが」


「友達に利害関係はいらないんじゃない?」


 ……そうなのか。

 お互いの為に友達になるんじゃないのか。


「自己紹介しよっか。僕は、各務光大」


「俺は、神崎樹。お前と違って至って普通の男子高校生だ」


「その割には今日は色々とあったみたいだけど?それに前から有坂さんとの主従関係で有名だったけどね」


「勘弁してくれ……」


 誰があいつと主従関係を結んでいるんだ。

 俺はただ……ただなんだ?

 紀里に虐められてただけな気がするが……

 思い返してみても一体どういう気持ちで紀里が俺の事を虐めてきたのか分からない。

 まあ取り合えず話を続けることにした。


「お前は……まあ有名だわな」


「うーん、なんでだろうね?」


「男全員を敵に回す理由が分かった気がする」


「ごめんて、友達だから許してくれない?」


「なんかいいように友達という単語を使われている気がする」


「あはは……」


 女子に人気が高い理由はなんとなく分かるが男子から嫌われる理由はとてもとてもよく分かるなこいつは。

 イケメンなくせして少し抜けてるところが理由なんだろうな。

 俺はそのイケメンに思ったことを言う。


「モテるくせしてなんで誰とも付き合わないんだ?」


「……ん~叶わぬ恋を抱き続けてるかな」


「お、おぉ……」


「聞きたい?」


「どちらでも」


「長くなるんだけど、多少話すだけの関係だった少し年上の人がいてね。正直なことを言うと僕はその人に一目惚れをしたんだ。そんなことは初めてで、最初は憧れというか尊敬だと思ってた」


 俺は本当に話させるべきなのかここに来て悩んだが、今ここで切ってしまうのも何か可哀想だ。

 引き続き黙って聞いた。


「その時、僕は中学生で、相手は高校生。何がきっかけであの人は僕と話してくれたのかは分からないけど、そのひと時がとても僕の心を揺さぶってたんだろうね。時間が経つにつれて、僕があの人に対して抱く思いに気づいて、その時、僕は恋に落ちたと自覚したけど……その人にはもう好きな人がいたんだ」


「……」


「それを聞いたとき僕はショックを受けたし勝手に失恋したよ。それでもあの人との会話は僕にとって生きがいのような物だったから失恋した後も色々と話したよ。」


「メンタル強いな」


「ははっ、そうかな?……続けるね。ある時その人は、魂が抜けたように顔を暗くしていつも一緒に話す場所に居たんだ。話を聞いてみれば、その人が好きな相手は自分のことが好きじゃないんだーって言ってたかな?要はその人も失恋したんだよ。そして、僕はチャンスが来たんじゃないかと僕の思いを少しでも伝わればと思って告白しようと思ったけど、僕が告白する前にその人はアイドルになっちゃった。でも初恋だったから凄い引きずってるって感じ」


「……話が凄い面倒くさいがなんか重い事だけは分かった」


 こんなイケメンが過去を引きずりまくっているなんて誰が思っただろうか。

 こいつが好きになった人はその人でまあなんというか凄い人だ。

 失恋したからアイドルになるなんて……

 各務はスマホを俺に見せてきた。


「このセンターに立ってる人がそうなんだけど……」


「ブホォッ……ごほっげほっ……」


「ど、どうしたの」


「知り合いに顔が似てただけだ」


 いやまじで似てる。

 でも失恋したなんて聞いてもいないしましてや恋をしたなんて聞いたこともなかった。

 あとアイドルになったことも……

 だからとても似てるだけの人物のはず……


「僕のこの喋り方もあの人に影響されたかな」


 俺はその言葉で少し冷や汗をかいた。

 ……もし本当にこれが本当に合っていてそれが偶然ならこの世界は狭すぎる。

 この世界を創った神様とやらに『世界狭すぎるだろ!』と一言、言ってやりたいくらいにはとてもとても狭い世の中だ。

 多分この各務光大が恋をしたという人間は俺といまだ関わりを持っている唯一の幼馴染である可能性が高い。

 ただ完全な確証はないので、こいつに話すことはしないし幼馴染に聞くことは多分恐らくないだろう。


「お前も色々とあるんだな」


「そういう君も今日色々とあったみたいだけど?」


「まあ元々こうなる未来も予想していたが思ったより早かっただけだ」


「なるほどね……」


「どうせ、カラオケ来たんだし全力で歌ってそのしかめっ面どうにかしたほうがいいぞ」


「……そうだね」


 俺たちは初めて友達らしいことをした気がする。

 二人で喉が疲れるまで歌えるだけ歌った。









「ん゛っん゛っ、歌いすぎた」


「喉がガラガラだよ。ま、でも楽しかったよ」


「そうだな。また機会があったら遊ぶか」


「そうだね」


 こんな余裕ぶって二人で話しているが俺は大ピンチだ。

 早く帰らないと愛理さんの堪忍袋が今にも切れそうになっている。

 さっきからスマホへの愛理さんからの通知が鳴りやまない。

 厄介なヤンデレ彼女かよ……

 俺たちはそれぞれ別の道へ行き家路を辿った。




 家へ帰ると玄関には愛理さんが仁王立ちをして待ち構えていた。


「どこ行ってたんですか」


「各務と一緒にカラオケに……」


「なんで連絡をくれなかったんです?」


「いやあのその……」


「バレンタインなのに彼女より友達優先するんですね。樹さんはそういう人なんですね」


 愛理さんが学校で告白まがいのようなことをするから……

 と、言いたいところだが、それなら他の人の目を気にせず、二人で帰ればよかった、と言い返されるがオチだ。

 あと愛理さんはその如何にもキスをされたそうにするのをやめてくれ。


「やっぱりしてくれないんですね……」


「残念そうな顔をしないでくれ」


 俺は愛理さんの頭の後ろに手を回しこちらに寄せて唇と唇を触れ合わせた。

 最近の愛理さんは、前のように強引に舌を入れようとしてこなくなった。

 逆に俺は少ししてもいいと思ってきたが……

 やはり恥ずかしい、というのがあったりして未だ実行できていない。

 ずっとこのままというわけにもいかないので、愛理さんから離れた。


「ん~もう少ししてもよかったのに……」


「……はぁ、後でな」


 靴を脱ぎ捨て、いつも通りリビングに向かいソファに座った。

 なぜか愛理さんが少し心配そうな顔で、俺のことを見ている。


「なんか私のこと嫌になってません?」


「そんなことないぞ。ただ今日の皆から見られてる中でチョコを渡され本命だ、とか言ったのは少しいけ好かないな」


「え、じゃあ樹さんが家帰ってくるの待って、体中にチョコ付けて私を食べてください言ってもらいたかったってことですか?」


 脳内の中でその様子を浮かべた。

 簡単に想像できてしまうのが怖いところだが、愛理さんというのはそういう人だからな。

 ちなみに本当にそんな状況になっていたらここまで落ちに落ちた俺は我慢できず、愛理さんを食べてしまうだろうな。


「仕方がありませんね~今夜は楽しみにしててくださいね?」


「何を言ってるんだ」


「私のチョコまみれな姿を想像した樹さんのためにその想像を現実にして差し上げますよ」


「やめてくれ……」


 嫌だからやめてほしいというわけではない。

 ただ単純に俺の理性が吹っ切れるからやめてほしい。

 本当に我慢できなくなるから……


「まあ取り合えずご飯にしましょうか」


「ああ……」


 愛理さんは、本当にやってくれるから危険すぎる。

 こうなったら逆にやめさせるために、俺が襲い……いやそれはダメだ。

 愛理さんなら受け入れてくれるだろう、拒むこともないはず……でも、なぜか心の中の俺がそれを許さない。

 キッチンに立ってご機嫌そうに、俺の分の夕飯も用意してくれている愛理さんを襲うのは……


「ん?どうしたんですか?」


「いや可愛いなって」


「……照れますよぉ。んふふ~今度は困らせるために、裸エプロンにしーよっと」


 裸エプロンだったらもうなんか誘っているようなものだし襲っても問題ないな。

 そんな度胸もないので俺は愛理さんとそういう状況になっても襲うことはない。

 言い切りたいところだが愛理さんが魅力的すぎるので、やらかす可能性は十分にある。

 愛理さんの作ってくれた夕飯を食べ、さっさと風呂に入った。




 風呂から上がりリビングに戻ると愛理さんの姿はなかった。


「そういえば配信だったか」


 一時間ぐらい配信するって呟いていたような記憶がある。

 最近俺も愛理さんも配信をあまりしていない。

 理由はまあ二人でゲームすることや二人で話すことがこれまで以上に増えたからだ。


「愛理さんが配信してる間に寝たら怒るんだろうな」


『折角用意したのに何で寝てるんですか!』と言って怒ってくる姿が簡単に想像できる。

 まあ怒るといっても拗ねるぐらいだが……

 拗ねてもらう方が可愛いと思うが、可哀そうになってしまうので今回はやめておくことにする。

 どうせなので愛理さんが昼に押し付けてきたチョコを食べることにした。

 鞄を手に取りソファーに座って、中からチョコを取り出した。


「……はぁ」


 愛理さんが渡してきたときは周りからの視線もあり、すぐ手に取り鞄へしまってよく見ていなかったが、丁寧にラッピングされたうえしっかりとメッセージカードらしきものが挟まっていた。

 取り合えずメッセージカードらしき物を開いてみてみるとそこには「これからもよろしくお願いしますね♡」と書かれていた。


「可愛いなぁ愛理さんは」


 メッセージカードは机に置き本題の箱を開けてみた。

 中には両手いっぱいの大きさのハート型のチョコが入っていた。

 これを食べろと言うのか……

 流石に一度にこの量を食べると、体が壊れるので何回か分けて食べることにしようと思う。

 適当に切り取り食べてみると滅茶苦茶美味かった。


「やっぱり愛理さん料理上手いよなぁ」


 中はチョコレートケーキで外側がチョコでコーティングされている物だったが、2つ合わせて丁度良くなっている。

 チョコレートケーキのほうはそこまで甘くないが、その分チョコが甘くなっている。

 そのおかげか甘さが程よくなり、しつこくなくなっている。

 また愛理さんに作ってもらおうと思いつつ、切り取った分は全て食べあとは冷蔵庫にしまった。


「美味かった」


「樹さんチョコ食べてくれたんですか?」


 後ろから愛理さんが声を掛けてきた。


「……急に声を掛けられて驚いたことは置いておいて。チョコ美味かったぞ」


「そうですか。それは良かったです。ちなみに訊きたいんですけど……」


「なんだ?」


「樹さんって体臭残ってるのとお風呂上がりのいい匂いどっちのほうが……」


「そりゃ勿論……と、言いたいところだが何か嫌な予感するから無理矢理風呂入れるぞ」


「無理矢理!」


 この調子じゃ会話が進まないことが目に見えているので、愛理さんの手を取り無理矢理浴室へ連れて行った。

 その間愛理さんは顔を真っ赤にしていたが……もしかして愛理さん押されると弱いのか?

 まあそれは俺も言えたことじゃないが……


「脱がしてください」


「勘弁してくれ」


「ぬ~が~し~て~」


「そんな駄々こねるようにしても無駄だぞ」


「わかりましたよ~だ」


 俺は浴室を出てソファーに座り愛理さんの「ぬ~が~し~て~」と「わかりましたよ~だ」を脳内でループさせまくった。

 普段そういうことを言わない愛理さんが偶に言うと俺の理性が秒殺される。

 偶にああいう一面を見せるから卑怯なんだよなぁ……

 取り合えず他に何も考えず寝支度をしながら脳内ループを続けまくった。




「食べ物を無駄にしようとするな」


「樹さんが食べてくれれば……」


「食べないからな?」


 風呂から上がってきた愛理さんは自分の体にチョコをつけようとするがそれは勿体ないので止めている。


「じゃあ樹さんが普通に食べてくれるんだったら、チョコ無駄にしなくて済みますよ」


 ニヤニヤしながら俺を見てくる愛理さんをソファーに押し倒し、顔を近づけた。

 愛理さんの顔がすぐ目の前にある。

 いつ見ても綺麗な顔をしているなと思いつつ、愛理さんを止めるために口を開いた。


「そうするか?」


「ふ、ふえ……?」


 愛理さんが顔を真っ赤にしている。

 いつもは愛理さんに押されたままだったが、こう逆の立場になると愛理さんが可愛く見えてくる。

 いつも可愛いんだが、まあそれは置いておいて……

 今考えてみたがいつもは強気で攻めてくるのに押されてすぐに弱るのは、そういう性格なのか?それとも、本当は無理しているとかか?

 もし無理をしているのだとしたら、やめてもらいたいが……

 配信の姿を見てた時と大差ないのでこればっかりは数ヶ月経っても気づけない。

 もう一度愛理さんの顔をよく見ていたら、愛理さんの手が伸びてきて一気に顔を近づけられキスをした。


「…………樹さん、濃いキスしませんか?」


「するか」


 流石にもう我慢できなくなってきた。

 少し見つめ合い、顔を近づけて口を開き舌を絡ませ、そのまま愛理さんと初めてディープキスをした。

 いやらしい音が耳に入ってくるが、キスのほうに集中しだんだん聞こえなくなってくる。

 愛理さんは絡めるだけじゃ足りないのか俺の舌を押し口の中まで入れてこようとするが、負けたくないという気持ちが少しあり、俺は無理矢理愛理さんの口の中に舌を入れてかき回した。

 絶対に離したくないという思いがどんどん強くなっていく。

 愛理さんのどんどんか弱くなっていく姿を見ながら、俺は満足するまでキスをした。




 満足したので愛理さんから離れると、少し体をぴくぴくさせ動かなくなってしまった。

 ……やりすぎたかもしれない。

 意識を取り戻したかのように、愛理さんが声を発した。


「うぅ……樹さん、手加減してくださいよ……」


「すまん」


「寝室まで運んでください」


 ソファーに寝てしまった愛理さんの首と膝の後ろに手を入れ、お姫様抱っこをして寝室まで運んだ。

 学校で告白されたからか、吹っ切れてしまっている。

 愛理さんが可愛すぎて冷静さに欠けてしまっている気がするが、まあ愛理さんが可愛いので仕方がない。

 お姫様抱っこをした状態で寝室へ入り、愛理さんをゆっくりとベッドの上に寝かせた。


「樹さんがいつもより大胆で怖いんですけど」


「ダメか?」


「ダメじゃないです……」


「布団はいるぞ」


 俺は愛理さんの横に体を倒し、愛理さんのほうを向いて愛理さんの体に手を回し抱き着いた。


「愛理」


「ひゃい!」


「好きだ、愛してる。愛理が居ないと寂しくなる。だから一生そばに居てくれ」


「は、はいぃ……」


 凄く恥ずかしいことを言っていることに気づき、顔が熱くなってきた。

 本当はこの言葉だけじゃ足りないぐらいだがもうこれ以上言うと、恥ずかしくて悶え死ぬのでやめておく。

 愛理さんの様子を見てみると、顔真っ赤にして俺の胸の中で俯いていた。


「樹さん変なものでも食べましたか?」


「変なものじゃないが愛理のチョコは食べたな」


「うぅ……」


「どうしたんだ?いつもと様子が違うぞ」


「それは樹さんです!」


 可愛いなぁ愛理さんは。見てるだけで目の保養になる。


「早く寝ましょうよ!」


「愛理ともっと話したい」


「樹さんが変……じゃあキスしたら寝てくれますか?」


「愛理がそういうなら」


 さっきソファーでしたようなディープキスではないが、軽くいつものようにキスをした。

 愛理さんの頭を撫でてから俺は約束通り眠るため、瞼を落とし視界を暗闇へ移した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 カクヨムで後書き書くの初めてなのでこれで合っているか分かりませんが、間違っていてもお許しください。

 本当は前話で書けばよかったのですが完全に忘れていたのでここで言わせてもらいます。

 この「推しのVtuberが許嫁だった」を投稿してから一年が経ってました~(わぁーパチパチ)

 書き始めたのが去年の10月23日なので約一カ月遅れましたが一年経ったことを報告させていただきます。

 本当はもっと早くここまで行くつもりでしたが、何も進んでいません。

 この調子で行くとあと何年かかるのでしょうか……

 ですが、ここまで書き続けられたのは、読んでくださる方々が居てくれたからです。

 本当はもっと色々と話したいことが沢山、もう本当に沢山ありますが、長くなってしまうのでやめておきます。

 ここまで読んでくださった皆様、そしてフォローや応援、レビュー?(星のやつです)をしてくれた皆様、本当にありがとうございます。

 そしてこれからも私とこの作品共々よろしくお願い致します!


 あとカクヨムでこのようなお祝い?的な後書きを書くこと以外は、後書きを書かないのでもし偶に書いてるちょっとした後書きを読みたい方は、小説家になろう様で投稿させていただいている方にあるのでそちらで読んでいただけるとありがたいです。

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