第2話

俺は今、道を走っている。

何かに追いかけられ、何かを追いかけてるわけではない。

ただがむしゃらに走っていた。

愛はあの後、言いたいことだけ言って去っていった。


向かうは裏山。裏山なら誰にも見られずに…泣ける。

死ぬわけではない。


いや!別に死ぬのが怖いわけじゃないし!?

はい。ホントは怖いです。


俺は裏山に着いた。


「ライバルだって思ってたのは…俺だけかよ、チクショー」


そりゃそうだ。

あいつと俺との差なんてわかりきっていた。

あいつに俺が何か一つでも勝つなんて無理なんだ。

あいつは空手を習っていて日本大会の小学生の部で優勝するほどの強さなんだ。


「ああ、わかってたよ。俺が相手にされないことくらい」


悔しい。ただ悔しい。

だけどここなら誰にも邪魔されずに思いっきり泣ける。


そう思っていたのだが。


『グォォォォォ』


「え?」


木々を抜けながら現れたのは、


熊だ。


(やべっ!そんな深いとこまで来てたのか!)


この裏山には熊が1匹住み着いているからあまり奥には行くなと爺ちゃんから言われていた。


「やべっ!逃げなきゃ!」


逃げ切れないと死ぬ!

俺は咄嗟にそう判断し背を向けて逃げようとする。

だが熊は、


『グガァァァァ』


と、逃さないとばかりに追いかけてくる。


「はやっ!?」


とんでもない速度で。


そして俺は恐怖のあまり足元を見ていなかった。

そう、コケてしまったのだ。


「ぐぬっ!なんでだ!なんでこうなるんだよ!!」


俺は地面に落ちていた石を拾った。


熊がとうとう俺の目の前まで来た。


「くっそ!もうどうにでもなれってんだ!!」


熊が顔を近づけて来たタイミングで手に持っていた石を思いっきり振りかざした。

それは熊の目に当たり、熊は目を押さえ苦しむ。


「へっ!ざまあみろ!」


俺は上手く行くとは思わなかったがその隙に逃げる。




「はあはあはあ、結構、離れたな」


俺は森の中を無我夢中に走った。


「助かったぁぁ」


助かった。だがそれは熊からであり、


「んでここ何処」


森から抜け出せたわけではなく、


「まさか…迷子かぁぁぁぁ!?」


突然にサバイバル生活が始まったのだ。

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野生に目覚めて世界最強 サーモンエビマヨピーマン寿司 @ttttttttyyyyyyiiiii

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