「なぁ、兄貴…答えろよ。誰の名前呼びながら、自分のを慰めてたのかさ…」


「あ…!ちがぁ…」


腕を掴み、耳元で熱く囁く。

途端に兄貴は顔を真っ赤に染めて。

びくんと肩を揺らし、壁際へと逃れようとするから…



意地でも離してやらねぇよ。

俺だってここまで散々…待たされてきたんだからな?






「ちょ、離せよッ…」


「ムリ。兄貴がちゃんと答えるなら…考えるけど?」


まだ抗おうとする兄貴は、泣きながらも懸命に兄貴ぶって睨み付けてくる。

ひょろひょろなクセに、力で俺に敵うわけないのにな…。



そういう反抗的なのも悪かないが…。

こっちとしてはもう、我慢の限界なんだけど。





「兄貴さあ…誤魔化してもムダだって…」


だから素直になれよ…

そう目を見て告げれば。兄貴は真っ赤なそれで、俺を見上げてきて。


ゆらゆらと、葛藤してるのがよく判る。






「毎晩聞こえてくんだよな…。兄貴が何度も俺の名前呼びながらさ、」



ヤラシイコトしちゃってんのなんか、最初っからお見通しなんだよ。


その声オカズに、俺も何回イッたことか。




けど全然足りやしねぇ。

仕方なく適当な女で処理したって満たされる事はないし。


それは兄貴だって同じハズだろ?






「ホラ…吐けよ、兄貴…」


「ッ…!」


スレスレまで顔を近付け、命じる。


兄貴はなんだかんだ俺には甘いし、強く出れない弱みがあるから…。こうしてお強請りしてやれば、拒む事なんざ出来やしないんだ。






「誰だっけ?兄貴のオカズに、なってんの…」


「あ、う…」


もうお互い限界なんだ。


仕方ないだろ?

現実的に取り繕ってみても、不自然でしかない。

意地張って兄弟ぶってみても、それは仮初めでしかねぇんだから。






「お、俺は…お前をッ…」


「ん…俺を想像して、何シたの…?」


「自分のを、擦って…」


「知ってるよ…。俺に突っ込まれんの想像して、後ろも弄って…何回もイッてたんだよな?兄貴は…」


トスンと力無い兄貴を押し倒すと。

困惑の中に、期待するような色を…瞳に映し出してくれる。



分かり易くて単純な兄貴。

そういうトコが、愛おしくて堪らねぇよ…





「俺もさ、兄貴が俺の下でヨがってんの想像してさ…」


壁一枚向こうで右手汚してた。

たまに女抱いて、ソイツ兄貴にすり替えてさ。

コレが本物だったらって、考えただけでスッゲェ興奮するんだ。





「そ、それって…」


兄貴の震える手が、俺の服を掴んでくる。

ここまでくれば、いくら鈍い兄貴でも理解出来たはず。


勿体ぶるのはお終いだ。

俺は兄貴が欲しくて仕方ねぇんだから。






「兄貴は…俺にどうされたい?」


叶う事はないと決め付けて、右手で満たしてきた身体。

本当は俺に、触って欲しかったんだろ?






「お、俺はっ…お前に─────」


漸く本音を晒け出した兄貴の唇を、その言葉ごと食らい尽くす。


初めてだと言っていたキスに、一瞬戸惑う兄貴だったが…。

そこは男。

すぐ本能に従い、俺の背に腕を絡めてきた。



もう、逃がさねぇからな。






血を分けた家族だろうが関係ない。

それが実の兄で、男だとしても。


兄貴はそれを気にして、今まで隠そうとしてたみたいだったが。



そんな事、俺が認めやしねぇよ。







「望み、叶えてやるよ。」


「あっ……!」


兄貴が泣いて許しを請うくらい、ドロドロに。

絆して愛して、俺しか見えないくらい骨抜きにしてやるから…



全部、受け止めろよ。





「たっぷり可愛がってやるから…」


「…ゃ……ッ…」



なぁ、兄貴?




happy end…?

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