Sな弟×Mな兄


ドS弟×ドM兄でSS(※微エロ?)


━━━━━━━・・・





「彼女、出来たって…?」


自然を装うようなタイミングで、兄貴が怖ず怖ずと口を開く。盗み見たその横顔は、遠くを眺めてはいたが…。

膝を抱える指先は、酷く震えていた。






「俺も高1だし、普通だろ。」


「まあ、そうだけどっ…」



さらりと返せば、あからさまに表情を曇らせる兄貴。

俺に初めて彼女が出来た事が、相当ショックだったみてぇだ。


実際は1回ヤッただけで、ソイツは彼女なんかじゃねぇんだけど。







「兄貴は女作らねーの?」


高3になって未だ彼女どころか、女子とそういった噂すら上がらない兄貴。





「おっ、オレは…お前みたくモテるワケじゃないし…」


いつもそう言って、気のないフリをするけど。

兄貴がいつまで経っても恋愛しない本当の理由を、


俺は知ってんだぜ?







「…もしかしてキスとかっ、もう…しちゃった?」


彼女の存在もだけど、兄貴としてはの方も気になるみたいで。

相変わらず視線は、部屋の壁に固定されたまんまだったが。意識は今か今かと俺の答えを待ちわびてんのが、目に見えて判り易い。


必死で隠してるクセに、バレバレなんだよ…兄貴。






「してたらどうすんの?」


「え…?」


問に問で返したら、兄貴は反射的に俺を見上げてくる。

兄貴のが小さいから、上目遣いの困り顔が。


俺を堪らなく悦に浸らせてくれる。





「今時キスくらい普通だろ。」


「そ、そうかもだけどっ…」


自分でも質問の矛盾さが解ってんだろう。

兄貴は次第に切羽詰まったよう、目を泳がせ始める。


それでも食い下がってくるのは…






「なに?まさか兄貴、キスしたことねぇの?」


「えっ…あ、や…」


からかうよう、グッと顔を寄せてやれば。

兄貴はバカみたいに、真っ赤になっちまう。


話題が話題だけあって。

その恥じらう様が、まるで誘ってるように見えるのは…仕方ない事だろう。


そうやって兄貴が未だに純潔であり続ける理由は、






「キスもまだとか…ほんと兄貴はオクテだよな?」


「お、オレはそんな軽い男じゃないしっ…」


とか言って。

さっきから気まずそうにする兄貴は、ちっとも俺と目を合わせちゃくれない。


そりゃ後ろめたいよな…だって兄貴は────…






「ふーん…そんなお堅いコト言うクセに。毎日オナニーはしてんだもんな、兄貴は?」


「なっ…?」


俺の台詞を引き金に、一瞬にして顔を青くした兄貴。

指先の震えが、たちまち全身にまで伝染していった。







「なぁ、兄貴?そん時さ…」


一体誰をオカズにしてんの?

漸く俺を捉えた目が、じわりと滲んでいく。


やっぱ堪んねぇわ、その顔…






「ちが、違うんだッ…」


俺が何を言いたいのか…当事者である兄貴は流石に気付いたようで。言い訳するガキみてぇに、首を振っては否定を口にする。


そうして可愛い顔ばっかして見せるから。

意地悪く「何が?」と惚けてやると…。

兄貴は涙を堪えるようにして、唇を噛み締め俯いちまった。


…ホント、いちいち可愛いヤツ。

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