第12話 夢夜……

 見慣れた夜の街。


 私がいる街。


「……」


 大人を中心にたくさんの人が歩いている。


 穏やかで、みんな笑顔。


 嬉しそう。


 私……、そうだ私も大人なんだ。


 働く姿、スーツ姿の私。


 確かに私は二十歳。


 だけど何か違う。


 何だろう?


 !


 分かった。


 みんなが居ない。


 神様になった大人たち。


 私を守ってくれる七人の大人。


 神様になっていつも私のそばにいてくれる。


 いろいろ話してくれる、楽しくて面白い大人たち。


 私を生かして、大人にしてくれた、とても良い大人たち。


「……」


 センセー、スピール、ネーサン、シショウ、タクロー、フクサン、キンジイ。


 みんな大好き。


 あらためて考えると、スピールは、魔法を撃つ銃の名前がそのまま呼び名になっているんだよね。


「……」


 気がついた時には十八歳になっていた私。


 私は普通に生きられない。


 この街で生きていくしかない。


 こんなふうに手を伸ばして、人に触れようとしてもすり抜けていく街で。


 誰一人、私を見ることも、聞くこともできない街で。


 でも私は、街の人、全員が笑顔になってほしいと思う。


 そのために私は笑顔を奪う夜獣やじゅうと戦う。


 例えば、こんなライオンさんの頭をした黒いスーツ姿の夜獣も、背負い投げをしてすぐにスピールを撃って消滅させる。


 そして、変なのがいて暗黒にちそうな人を、もう一つのスピールで助ける。


 お仕事としては神貨しんかを得ることもそうだけど、一番はそれ。


 だから街から出られなくていい。


 それに、みんなが居るから大丈夫。


 神様になった大人たち。


 いまは感じないけど、それは夢だから。


 目を覚ませば、みんなが「おはよう」と挨拶をしてくれる。


 笑顔になれる言葉をかけてくれる。


 だから大丈夫。


 私は大人。


 例えひとりになったとしても私は生きていける。


 みんながそのすべを教えてくれたから。


 だから大丈夫……。

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