第7話 バカな友達

「おはよう。…….なあなあ祐希、きいてくれよ‼︎」


学校に着くなり、大きな声で話しかけてきた、

顔も声もうるさいこの男は、俺の唯一の友達

長谷川大輝。中学校の時、部活で知り合った

のが、こいつとの出会いだったから、もう

かれこれ、こいつとも3年の付き合いになる。

……ちなみに俺は、大輝と友達になった後に

できた友達は1人もいないから、3年間、1人も

新しい友達ができていないことになる。


「おはよう大輝。……で、何があったの?」


こんなふうに、大輝に向かっていうと、『人に対して、冷たいから友達できないんじゃない?』とかいう人がいるかもしれないから言っておく。俺は別に、学校の友達全員に、こういう対応をしているわけではない。大輝だけに、こういう対応をしているのだ。それは何故か。

……こいつが、『大変だ〜』とか言っても、全然 大変じゃないかとばっかだからだよ‼︎

例えば、この前なんか、『大変だ〜大変だ〜』

とかいうから、何があったのか聞いてみたら

『朝、登校してる時にいつもみていたタンポポが、

綿毛になっちゃったんだよ‼︎』

と言ってみたり

『カラスが、くるみを割って、食べてたんだ。』

と言ったり……。ともかく、くだらない話しか

しないのだ。だから、どうせ今日も……


「祐希、聞いて驚くなよ⁉︎実はな、俺、今日の朝

パンを食べちゃったんだ〜。どうだ〜?すごいだろ〜‼︎」


……全然すごくね〜よ‼︎

え?マジで何言ってんの?朝、パンを食べたって言われて驚く人、世界中探しても誰一人としていないと思うよ?何、お前。バカなの?脳みそお母さんのお腹の中に、置いてきちゃったの?……おっと、これはこれは、失礼しました。少し……いや、かなり

汚い言葉を使ってしまいました。大変、大変申し訳ございませんでした。


「なあ大輝。それのどこに驚く要素があるんだ?……俺には全く、わからないんだが。」


「……え⁉︎お前、びっくりしなかったの?」


「うん。」


ていうか、こんなこと言われて驚くやつの方が少ないだろ‼︎


「……うちの家族は、俺が朝、パンを食べるって言ったら、みんな驚いて尻もちついちゃったのに……。」


大輝の家、すっごく楽しそうだな〜。面白い親と、

かわいい妹さんがいて……1日くらい、一緒に過ごしてみたい。……まあ、うちにはかわいいお嫁さん(仮)がいるからいいけど。


「祐希、お前まさか知らないのか?」


何を?


「俺が、俺が朝は、パン派だというこの事実を‼︎」


……。うん。本当に、心底どうでもいいんだが⁉︎

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