第6話 2日連続2度目の大事な話……だと⁉︎

「ゆうくん。大切なお話があります。」


リビングについて、料理を作っていると、葵がそんなことを言ってきた。

ちなみに、葵は料理が全くできないし、洗濯もできない。掃除もできない上に、勉強も、運動もできない。神様に、可愛さ以外を与えられなかった、

可哀想な女の子なのだ。

……2日連続で、大事な話を聞くとか、どんな人生歩んでいれば、そんなことになっちゃうの?

はーい。こんな人生で〜す……ってやかましいわ‼︎

俺だってね〜、望んでこんなことになってるわけじゃないんだわ。周りの人が、ちょこっと、そう

ちょこっとだけ、あたまがアレな人が多いから

こんなことになっちゃってるだけで。


「ゆうくん。私たち、いつも一緒に登校しているじゃん。でも、その、なんというか……今は私たち、結婚したことに、なってるじゃないですか。」


まあ、お母さんたちに、無理やりさせられただけどな。


「だから、その、手を繋いだりして、歩きたいな。と、思いまして……。だから、ゆうくん。今日から自転車じゃなくて、歩いて学校まで行きませんか?」


と、葵は上目遣いで言ってきた。もし、今までの俺なら、『そんなの反則だよ。……可愛いすぎて、断れるわけないじゃん。』とか、言っていただろう。

でも、今の俺は違う。昔より、昔より少しだけ、

上目遣いに強くなった。……葵が毎日のように、上目遣いでお願いしてきてくれたおかげだけれど。


「さすがに無理だろ……。この家から学校まで、

歩いて行けば、1時間くらいかかるだろうし。」


そう、この家から学校まで、4キロ以上あり、

歩いて行くと、1時間程度かかるのだ。

現在の時刻は午前6時45分。出席確認は午前8時15分。今から向かっても、学校に着くのは午前7時45分なのに、俺たちはまだ、朝食すら食べていない。

……だから、普通に考えて、歩いて行けば、学校に

は、間に合わないのだ。

だが、葵は


「なんでなんで、な〜ん〜で、なんでダメなの〜?いいじゃん‼︎別にいいじゃん!!学校なんか遅れても‼︎2人で手を繋いで登校すれば‼︎ハッピーじゃん‼︎

幸せじゃん‼︎」


「……たしかに、葵と手を繋いで登校すれば、きっと幸せだと思う。でもな葵。遅刻はしたらいけないんだよ。……だってお前、次遅刻したら、遅刻3回したことになるから、親と先生と葵で、三者面談をすることになるよ?だからせめて、歩いて登校するのは、明日からにしない?」


そう、葵は高校入学から、まだ1ヶ月も経っていないのに、すでに2回遅刻しているのだ。まあ、そんなわけで次、遅刻してしまうと、3ヶ月という、20年前にとある先輩が記録した、『三者面談、最速記録』を更新してしまうのだ。だから今日は、一緒に歩いてはいけない。……でも、でもやっぱり、葵と手を繋ぎながら登校ということは、生きているうちに体験してみたい。だから、『今日からではなく、明日からではどうか?』

と、葵に提案したのだ。


「……わかったよ。ゆうくんがそこまでいうなら、明日からにしてあげる。」


……口を尖らせてる葵も、可愛いな〜。

ていうか今まで触れてなかったけど、葵さん。

なんで急に、『ゆうくん』って、呼ぶようになったの⁉︎

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