はらぺこツーリングルメ

 磯本つよし先生のバイク漫画「はらぺこツーリングルメ」を読みました。

 基本的に一話完結のショートストーリーです。説明的な台詞など殆ど無いのですが日常の切り取り方がすごく上手くて、すんなりと物語に入っていけます。


 そして漫画という表現力の素晴らしさ。

 ラノベでのツーリング描写ではどうしても比喩表現が目立ってしまいがちですが、文章による只の忠実な風景描写だとその景色を知っている層には響かない、新しい発見を提供できないからでしょうか。勿論、絵だからといって全てを伝えられる訳ではなく、目で見た景色を如何に写真のフレーム内に収めるか? と言う難しさに通じる筈なのです。しかしこの漫画では背景やバイク、登場人物の個性などが主張しすぎずにいて、それでいてキチンと伝わってくる、そのディフォルメ具合にセンスを感じます。


 登場するバイクが程よくマニアックな点も楽しめますが、こういうバイクに乗る人ならこんなヘルメットっていう、ファッションも含めたコーディネートにリアリティを感じました。

 グルメについても拘り過ぎていないちょうど良さがあります。

 ツーリングの仕方も動機も様々で、必ずしもソロでなくても、変則的なマスでも。蘊蓄うんちくやバイク哲学の押し売りが無く読んでいて疲れません。


 バイクとの適度な距離感。

 一過性の熱病のような趣味でない、長く続けられる趣味としての付き合い方ってこういうものではないでしょうか。

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