さらば青春の光

 原題『Quadrophenia』

 ザ・フーのアルバムのタイトルで造語だそうです。四重人格と訳されています。


 この原題を『さらば青春の光』と翻訳して公開した配給会社様のセンスは凄いと思いました。だって、観てる間中「これが青春か」と「青春」って単語でしか感想がでなくなりましたもの。


 物語は1960年代当時のモッズvsロッカーという若者達の対立が描かれ……と紹介されているものが多いですが、そんなに対立はなく、たまに小競り合い最後にちょい乱闘程度です。お父さんお母さんとの対立の方が激しい感。

 テーラーで三つボタンのスーツをあつらえて、モッズコートを羽織り、ドラッグを決めこんでスクーターを走らせて夜中のクラブで踊り明かす。頭の中は女の子のことばかり。両親が出掛けている家に集まってダンスパーティー、海辺の街で開催される大きなパーティーイベントへみんなで繰り出す。と、そんな若者の文化や、何かが上手くいかないけど何が上手くいかないかわからないといった若者特有の苛立ちが描かれています。


 まぁ現代で言うなら、Twitterで承認欲求欲しさに限度がわからなくなっていき、やらかし炎上でフォロワー減ってさらにやらかしてからの垢削除までが描かれている感じでしょうか。


 自分にまったく知識の無いジャンルのバイク映画なので、見識を広めようと観てみましたが、主人公がなんかランブレッタでエースってかっこいい人がなんかベスパってくらいしかわかりませんでした。ロッカーの方々のバイクとか色々往年の名車出てそう感があったんですけど……すいません。

 ヘッドライト数個、バックミラーは千手観音状態、旭じゃない風防(しかもランブレッタ純正っぽ)、先端に走り屋のしっぽみたいなのを付けた長い棒。

 考えてみると何年もバイクに乗っていますが、生活圏が違うからか田舎だからかわかりませんが、モッズスタイルのスクーターだけは走ってるのを殆ど見たことないことに気付きました。


 私は「シュワちゃんが大暴れしてるだけの中身ゼロ映画で喜んでるタイプ」なので、少々退屈に感じてしまいましたが、お洒落だけど空いているライダーズカフェでコーヒー啜りながら店内で流れているなんかおしゃれそうな映画として流し見するのに良いかなと思いました。

 あと、小さな気付きですが、『湾岸バッド・ボーイ・ブルー』はこの映画に影響を受けをリスペクトしているのかなとも。


 そういえば疑問点。

 モッズコートってイギリスのモッズの方々の間で大流行! ってことでM51パーカーがモッズコートって名前になっちゃったんですが、アメリカ軍の服が安くイギリスに出回ったってことですよね? なんで米軍の? ってのが頭に浮かびました。

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