セブンティーンモータース

「 エンジンは大丈夫、生きてる。」


 バイク乗りに刺さる台詞が多い映画です。

「バイク乗りの発想押し付けるのやめてくんない⁈」一般的な意見。

「私、また夢中になれるかな?」降りた人の台詞。

「お前らなんかする前に色々考えすぎ」現役バイカーの意見。


 一言で言うなら女子高生たちが不動車のハーレーを直す映画です。バイクが走らないという斬新なバイク映画。


 皆さんの新鮮な演技が、バイクに出会うきっかけが、レストアを始めるきっかけが、色々な所に突っ込みが追いつかなくてアップアップしてしまいます。

 この辺りはな○う系小説全般にありがちな事かも知れません。転生する為にトラックが悪者になってしまったり、女子高生バイク系小説だと通学に立ちはだかる坂道とかでしょうか。

 あと、物語が成り立つ為に出てくるバイクに詳しい脇役。私はこれが作者の分身だと思っています。この映画ではこういう詳しい系キャラの位置付けと距離感が上手いです。


 けど大事なのはそこでは無いのです。

 全体として伝えたい事や、紡いでいく物語に芯が通っていれば、そこは気にならないのです。


 この映画の凄い所は、バイクという物の良さがちゃんと伝わること。

 映画としては、寧ろ題材はバイクじゃなくっても良かったでしょう。

 大人達の過去にあった青春、青春只中にある若者達に干渉してくる過去、大人達には出来なかった若者による決断。

 骨がしっかりとあるから、肉付きが良くなくっても成り立つ。それが真実なのです。


 バイクのエンジンをかけよう。


 ハーレーのエンジン音。それはまるで鼓動の様で。

 早く走る、ゆっくり走る、上手く走る、何の為に走る? そう言う思考が全て意味を無くしてしまう。


 エンジンが掛かる、楽しい!

 アクセルを開ける、楽しい!

 ブレーキを掛ける、楽しい!

 そんな単純な事も忘れてしまっていたのか? ならば思い出せばいい。それだけの事。それに気付ける、それがハーレー。

 知らんけど。


 そして群馬。走るに気持ち良さそうで、雰囲気のいいお店やドライブインなどもあり、庭先にコンテナを置ける土地事情。随分とバイク人生が充実しそうな住環境でした。

 私も不動バイクを甦らそうかなとモチベーションの上がる映画でした。

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