付加価値

うすい

作品について

作品は常に付加価値だ。

作者が有名だから、みんなが観てるから、値打ちが高いから。だから、良い作品だ。

この理論は間違ってはいない。大多数に評価されるものは、自ずと数字が表す。だから、何も間違っていない。

人間は、付加価値無しに世界を見ることは出来ない。

有名校の制服、高いレビュー評価、あの〇〇もオススメの品、100万再生された動画、流行りの飲み物、皆が好きなKPOP。みんなが見てるから、みんなが聴いてるから、みんなが知ってるから、みんなが持ってるから、みんながみんながみんなが...


ピカソの絵だって、ピカソの名がなければただの落書きと思う人だっている。

そういうものなのだ。間違っていない。


付加価値において最も高い効果をもたらすものはなんだと思う?

それは、常に身近にあるもの、そう、「死」だ。


死んだ瞬間昔から好きでした。だの、この人の歌はどれも良かった。だの、動画の再生数が急激に伸びて、ファンはこんなに待ってたんだよ?だの。

バカバカしい。

何も分かってないコバエがこんなにも簡単に群がるのだ。

だから、「死」はかがやいているのだ。

どんなに凡庸なものでも、瞬く間に最高級の作品となる。


「死」というものは、最も身近にありながら、最も遠い場所にある、最高級の価値なのだ。

死ぬ前に描かれた最期の絵、今も生きていてつい先日描かれた絵。どちらが重みを増すだろうか。

どちらがよりコバエを集めれるだろうか。

無論、死ぬ前に描かれた最期の絵だ。

「死」というものは、常に人を惹きつける。それはまるで魔性の女性のような、儚く美しいものである。

僕はそれを追求したい。最高の付加価値を作品に。




もしこれを読んでいる君が、創作する者ならば、不幸になれ。人は、不幸でなくては、何も創れない。

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付加価値 うすい @usui_I

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