第37話 残り三日

「知っている人が多いと思うけど、闘技大会まで残り三日だよ。一学年の代表者はガルド。異議がある人はいるかな?」


 エレア先生が教壇に立って、みんなに視線を送る。

 

「ガルドさんなら問題ないぜ!」「そうだそうだ!」


 と言った感じで、反対する者はいないらしい。

 なぜか特待生より特待生をしている最下生である俺だが、ともあれ、もうそんな時期になったのか。


 それまで色々とありすぎて闘技大会のことを今の今まで忘れていた。


「ガルドさんなら大丈夫ですよ。先輩たちをやっつけちゃってください!」

「そうよそうよ! ぶっ殺してきて!」


 さすがに殺してはいけないだろ……。

 ともかく、今の時代の特待生とぶつかっても、俺の圧勝だとは思うが。


 それでもやはり油断はしてはいけない。

 油断した者は、どれだけ力を持っていても敗北してしまう可能性が大きくなる。


「ガルド。とりあえず前に出てみんなに頑張ってくるぞぉ、的なのを言ってよぉ」

「ええ……そんなこともしなくちゃいけないんですか」


 少々面倒ではあるが……まあいいか。

 椅子から立ち上がり、エレア先生の隣に移動する。


 教壇に立つのは初めてだが、こうも生徒を見渡せるんだな。サボっている生徒がいれば、すぐに分かる程度には状況を把握することができる。


「とりあえず、潰してくる。一学年が先輩たちに馬鹿にされないよう、頑張って戦ってくる」


 とりあえず、言いながら腕を上げてみた。

 すると、それに呼応するかのように一斉にクラスメイトたちが腕を上げて叫んだ。


「うおおおおおお! 頑張れよぉ!」「お前ならできる!」


 かなり期待されているらしい。

 これじゃあ、適当なことはできないな。


 絶対に勝たなくては。


「それじゃあホームルームは終了するよ。一限目は音楽だから、よろしくぅ あ、それとガルド。君と面会したい人が来てるから後で来てねぇ」


 そう言って、エレア先生は教室から出て行った。

 俺も自分の席に戻る。


「すごかったよ! みんな、ガルドくんのことを応援しているみたい!」

「信頼されてるってことですよ! よかったですね!」


 俺は感慨深げに首肯する。

 最初は半ばイジメのようなことをされていたからな。


 クラス内ではかなり成り上がったものだ。

 最初の目標も、半分ほどは成し遂げたと言ってもいい。


 次は学園全体だな。

 だが、そこには問題が立ちはだかってくる。


 学園長や、その学園長派の研究者たちだ。

 彼らと俺は真っ向から立ち向かわねばならない。


 あまり戦いたくはないが……仕方がない。

 腐ったこの学園を、根っこから叩き直してみたいとも思うしな。


 ともあれ、俺に面会者か。

 ……だいたい察しはつくがとりあえず行ってみるか。

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