(三)-3

「待ち合わせなんですけど」

「お名前をよろしいですか」

 笑顔でそう言うウェイトレスはバインダーを取り出した。このお店の予約台帳はまだ紙ベースなのだ。小さいお店なら、そういうこともあるだろう。

「たぶん、窪川の名前で予約していると思うんですが……」

 私が言うと、ウェイトレスの目が、バインダーに挟まれた紙を上からチェックしていった。

「窪川様でのご予約は入っておりませんが……」

 言われてハッと思い出した。そういえば、は「国見さんが店を予約してくれたのよ」って言っていたな。だからその名前を伝えた。


(続く)

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