夕日の友人と苺と

第9話 羽鳥さんの負担を軽減したいんです

そんな楽しい夜を抜けてから俺達は何時もの通りの日常に戻った。

先ず佐藤さんも朝に家に戻って行き。

俺も朝一で昨日行けなかった安いスーパーに行く事にした。

夕日も安静にして家に居る。

夜もそれなりに寝れたな、って思える感じだ。


「.....さて.....セールの食材、食材っと.....」


学校登校前の朝イチのスーパーで俺は食材を探してみる。

しかし昨日の嵐だがあっという間に過ぎ去ったな。

一晩経ってから、だ。


俺は考えながら.....買い物かごに食材のセール品を入れていく。

あまり金銭面の余裕が無い為に、だ。

しかし本当に色々な事があった。

色々な話が出来たな、って思うな。


「.....今週は.....お誘いのカフェにテストか.....2月になったらまた.....」


そんな考えを浮かべていると。

目の前から、もしかして、と声が。

俺は食材の陳列棚から顔を上げてみる。


そこには.....女子中学生らしき人物が居た。

かなり可愛い.....前髪の1つ編みの、だ。

髪の毛の色は黒髪だが清楚な感じだが.....誰?

俺を見つめてから少しだけ赤面している。


「.....羽鳥.....夕さんですよね」


「.....え?.....そ、そうだけど.....君は?」


「.....私.....夕日の友人の石破燕(いしばつばめ)です。.....お久しぶりです。.....暫く会ってないので.....分からないかもしれないですけど.....」


「.....!.....燕ちゃんか.....かなり成長して分からなかった.....髪型も変えたよね?」


「.....はい。.....こんな場所で会えるなんて.....嬉しいです」


はにかむ少女。

容姿としては小柄な身長。

それから.....1つ編みの右側の髪に肩までの髪の毛。

顔立ちはかなり整って童顔も混じっているが清楚な顔立ちをしている。

そんな少女を見ながら.....驚く。


「.....何で?.....結構朝早いよ?七時だし.....」


「.....え?.....あ。えっと.....そうですね.....お使いです」


「.....お使いか。.....偉いね」


「はい。.....その。.....風邪とかインフルエンザも心配だったので会って無いですが.....夕日は元気ですか」


「.....相変わらずかな。.....元気って言える部分もあれば元気じゃ無いって思う部分もあるよ」


「.....そうなんですね.....」


複雑な顔をする燕ちゃん。

俺はその姿に、気にしないで、と笑顔を浮かべる。

昨日は元気だったよ、とも、だ。

すると燕ちゃんは明るくなって、本当ですか?、と聞いてくる。


「ああ。ただ不調の波とかは.....やはり激しいけどね」


「.....そうなんですね。.....でも.....は、羽鳥さん居るから.....大丈夫だと.....思います.....」


最後の方が聞き取れない。

俺は?を浮かべながら燕ちゃんに近付くと。

燕ちゃんはビクッとして赤面した。


それから、し。失礼します!、と去って行く。

俺は、ふえ?、と思いながらそのまま立ち尽くした。

何が起こっている?っていうか。

俺が何かしたか?


「.....???」


結局。

燕ちゃんとはあまりお話が出来なかった。

俺は首を傾げるしかなく。


そのまま色々なセール品を買ってから家に帰って来た。

そして食材を直してから夕日に挨拶してから。

学校に登校して.....教室へ向かってから、先に行ってくれ、と言った山根に挨拶したりしてまた.....学校生活を過ごす。

4時限目になった。



「そういや.....昨日の嵐大丈夫だったか?」


「.....まあボチボチだな。つーか停電したろなんか?」


「.....だなぁ。その影響でゲームが止まったわ。セーブデータも全部パァ。.....クソめ」


「やれやれだよな」


購買で買ったコッペパン1個。

これが俺の昼飯だ。

というか金が無いから、である。

今日は用事もあったしな。


目の前の山根はジュースだけ飲んでいる。

何でか知らんが山根は食事をしないのである。

俺に合わせているつもりなのか知らんが。


「.....しかしパン一個とは。やっぱりお前さんも大変だな」


「.....弁当作れたら良かったんだけどな。.....まあそういう訳にもいかんしな。今日も部活かお前は」


「まあベンチだけど。.....でもサッカー部だしなぁ。辞めたいんだけど」


「辞めるなよ。楽しんで来いよ。お前ぐらいは」


「.....お前の分もか?」


「そうそう」


苦笑する山根。

そんな会話をしていると電話が掛かってきた。

その番号は.....佐藤さんだ。

俺はビックリしながら山根に断りを入れて電話に出る。

すると佐藤さんが、も。もしもし、と言ってきた。


『.....佐藤です。.....羽鳥さん』


「.....どうしたの?佐藤さん」


『.....その。.....昨日は有難う御座いました。.....それでその。.....私、羽鳥さんの家に行って良いって言いましたよね」


「.....そうだね。.....その件?」


『.....はい。.....その。.....私。.....羽鳥さんの重荷。.....羽鳥さんにお弁当を作ってあげたいんです』


俺は数秒考えて。

ボッと思いっきり赤面する。

それから、いや!?いいよそんなの!手間が掛かるよ!、と言う。

しかし、でも羽鳥さんは夕日ちゃんのお世話が.....ある。だから私がお弁当を作ります!、と笑顔を浮かべる様に声を弾ませた。


『私.....色々と込めて作ります。.....お手伝いさせて下さい』


「.....し、しかし.....」


そんな会話を聞いていたのか山根がいきなり電話を取り上げた。

それから、もしもし?佐藤さん?、と話す.....何やってんだオイイ!

思いながら取り上げようとしたが。


山根は俺を静止しながら、作ってあげてくれ、と笑顔を浮かべた。

何を言ってんだ!、と思っていると。

ウインクして山根はスマホから耳を離した。

そして俺に向いてくる。


「.....これはチャンスだ。.....お前にとっては」


「ばっかやろ!とんでもない事をするな!」


「だってお前。毎日.....夕日ちゃんの事で負担掛かっているだろ?少しは良いんじゃねーのか。甘えても」


「.....お前な.....」


そしてスマホを投げて渡してくる山根。

スマホ投げるとか何て事をするんだ、と言うよりも。

それよりも先ず.....なんて事を言うんだ!

俺は、佐藤さん!、と言うが。


『決まりですねアハハ。win-winですよこれ。お弁当作りますね』


「.....いやいや.....何でそこまで.....佐藤さん.....」


『決まっているじゃないですか。.....だって.....』


だけど答えは出ない。

佐藤さんはゴホンと咳払いしたから、だ。

そして、と。とにかく。私はお弁当を毎日作りますね、とまた声を弾ませる。


俺は真っ赤になったが。

でも嬉しかった。

俺を支えてくれる事が、だ。

でも山根の野郎め。


『.....じゃあまた放課後に行きます』


「.....う、うん」


『覚悟して下さいね。私は.....可愛いものしか作りませんから』


「.....あ、はい.....」


山根が側で、(゚∀゚)ヒューヒュー!、と言う。

煩いのでそのまま山根の首を絞めた。

だが結局その日から.....佐藤さんは。

俺にお弁当をマジに作るつもりで朝、俺の家に通い始めた。

これって通い妻.....なのだろう.....か?

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