谷と山

 谷が隣の山に向って吠えた。

「やい、おまえ! いつもいつもそんな高い所から上から目線でえらそうに見下しやがって! おれよりお天道様に愛されてるからって良い気になってんじゃないぞ!」

 山が仕方無しに応えて言うには

「私が高い所から上から目線で偉そうに見下しているように見えるという事は、君は低い所から下から目線で卑しく見上げているという事でもあるな」


 自分の見ている世界がその全てではないという事をこの話は解き明かしている。

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