第45話 テストが終わり、冬華は次のテストに燃える

 そして4日間のテストが終わり次の日には授業がある科目から答案が返ってくる。

 返ってきた答案を見て「赤点じゃない!」と安堵する人や「点数が上がった!」と喜ぶ人がいる一方で、「点数が下がった」と落ち込む人や「再テストの宣告」で虚無になってる人がいた。

 僕は事故で勉強があまりできなかったが、今のところテストの点数がいつも通りなのでまぁ、良しとしている。

 すると冬華が

「今のところのテストの結果はどうですか?」

 と聞かれたので

「今のところいつも通りかな?」

 そう僕が答えると

「私は点数が80点以上90未満です…」

 と残念がっていたが僕は

「僕が思うに8割取れてるんならいいと思うけどね」

 そう冬華に言うと、

「そういうものなんですか?」

 と聞いてきたので

「そうだぞ。90点以上は取れたらラッキー程度に思えばいいんだよ」

 僕はそう冬華に言うと「そうなんですね。わかりました」と言って納得してくれた。

 そんな感じで冬華と話していると

「見てくれ宮都!赤点を回避したぞ!これで今のところは冬休みは遊べるぜ!」

 そう言って昴は僕にテストの答案を見せてきた。

 確かに。数学は赤点ぎりぎりだが、それ以外の返ってきた科目は赤点を余裕で回避できる点数だった。

 僕は再び昴の数学のテストの答案を見る。

「なんで数学だけは赤点ぎりぎりの点数なんだ?」

「テスト始まる前までは公式を覚えてたんだけど、テストが始まると公式が頭の中から逃げやがった」

 そう昴が悔しそうに話すと、昴の後ろから彼女さんがきて

「それは”うろ覚え”というものなんだよすー君」

 そう肩を掴んで言うと昴が彼女さんに向き合う。

「俺はちゃんと覚えたぞ⁉だからうろ覚えじゃない!」

「それは”覚えたつもり”だよ?!」

 そう彼女さんが言うと

「もう数学やだ…、やりたくない…」

 昴がそう言いだしたので

「お前数学を勉強する時間を増やしてみろよ」

 そう僕が言うと

「そうだよ。そうしてみたら?」

 と彼女さんも僕の意見に賛同する。

「これ以上やるの…?え?お前ら2人は俺を殺す気なのか?」

 そう昴がこの世の終わりみたいな顔をして言うと彼女さんが昴の方に手を置く。

「殺す気はないよ。ただ、すー君の理解不足が原因で少しお勉強の時間が延びるだけだよ。特に数学の」

「何時間ぐらい?」

「ざっと72時間ぐらいかな?」

 そう言うと

「3日じゃねえか!え?俺死ぬぞ?そんなに数学を勉強したら頭が「ボンッ!」てなって機能が停止する!」

 そう言うと横から冬華が

「大丈夫です。頭は爆発しません。ただ、精神的な面では爆発するかもですが」

 そう言うと昴が

「もう数学やだ!勉強したくない!」

 そう言いだしたので彼女さんがにこやかな笑みを浮かべて

「すー君。あとから苦労するか、最初に苦労するかどっちがいい?」

 そう脅すかのように聞くと

「再テストはやだぁ!」

 と昴が言ったので

「ならがんばろっか」

 そう彼女さんが言った。


 昴が彼女さんとどこかに行くと冬華が僕の目の前に立つ。

「あの、三学期のテストの時、一緒に勉強しませんか?そうしないとこの前の日曜日みたいな状態になるかもしれないので…」

「ああ、そんなこと?別にいいぞ」

 そう僕が言うと冬華が

「いいんですか?あとから「やっぱり無理」とか言わないでくださいね?」

 と念を押してきたので

「そんなことはしないけどな」

 そう冬華に言うと

「ありがとうございます!約束ですよ?」

 と冬華が嬉しそうに言う。

 テストの答案は午後の授業で全部返ってきた。

 僕の結果はいつも通りでほっとしていると冬華が

「宮都、私、あと一歩のところで90点を逃してしまいました…」

 と悔しそうに僕に言ってきたので

「今回のテスト勉強の仕方とかを振り返って改善すれば点数があがると思うよ」

 そう冬華に言うと

「宮都が言うのならやってみますね!」

 と次のテストに燃えていた。


 午後の授業が終わり、僕は冬華と帰る道すがら冬華に気になったことを聞く。

「冬華、土曜日に鏡花と話したときに「私は冬華です。単刀直入に聞きます。あなたは宮都のことを好きですよね?」と言ったあとに「私も好きなんです。宮都を私に譲ってはくれませんか?」って言ったよな?あれはなんでだ?いつもの冬華だとあんなこと言わないだろ?」

「あの、言わなきゃいけませんか?」

 そう冬華が聞いたので

「僕的には気になるかな?」

 そう言うと冬華が深呼吸する。

「私は鏡花ちゃんに会ったことがなくて最初声を聞いたときには「浮気かな?」と思いましたが、実の妹と聞いて安堵しました。だけど私の中で急に「実の妹と付き合ってるのでは?」という疑問がわいてしまってですね、私がいつもならしないような発言をしてしまいました」

 と話した。

 僕は冬華の話を聞いて

「さすがにうちの親も僕が「妹と付き合ってる」って言ったら止めるだろ」

 そう言うと

「そうですよね。冷静になって考えてみればわかることでしたね。多分あの時はテストのことで頭がいっぱいで冷静に考えられなかったんだと思います」

 と言った。


 家に帰ると鏡花が「ただいま!お兄ちゃん!」と言って出迎えてくれた。

 制服から私服に着替えてリビングに行くとちょうど鏡花がいたので

「なぁ、鏡花。お前ってテストの点数は何点からいい点数だと思う?」

 と聞いてみると

「う~ん、私の場合は70点からかな。」

 と答えたので「その理由は?」と聞いてみると

「だって、70点から下の点数だとお兄ちゃんが頭撫でてくれないし、褒めてもくれないけど、70点以上取るといつもお兄ちゃんが私の頭を撫でて「よく頑張ったな」って言って褒めてくれるから」

 と答えたので

「ということは僕基準で決めたってこと?」

 そう僕が聞くと「うん」と言ったあとに

「お兄ちゃんなんでそんなことを急に聞いたの?」

 と鏡花が聞いてきた。

「テストの点数でクラスメイトが落ち込んだり嬉しがってたりしたから鏡花の場合のいい点数が気になってね」

 と僕が言うと「そうなんだ。」と言ってテレビを見始める。

 僕も鏡花の隣に座ってテレビを見る。


 しばらくテレビを見ていると冬華からメッセージがきた。

【冬華】宮都、今何してましたか?

【宮都】鏡花の隣でテレビを見てた。

【冬華】私は少し寝てました!

【宮都】疲れたのか?

【冬華】いいえ、ベットに寝転がってたらいつの間にか寝てました!

【宮都】寝落ちの二番目に最悪なパターンだね!ついに冬華も寝落ちデビューか?

【冬華】そのようです。

【冬華】話は変わるのですが、病院に行きました?

【宮都】今週の土曜日に予約は入れてあるけど。どうして?

【冬華】お父さんが聞いてくれと言ってきたので。

【宮都】僕の親以上に心配してるね。

【冬華】それほど宮都のことが気に入った証拠ですよ

 冬華とメッセージのやり取りをしていると

「お兄ちゃん、ご飯できたってお母さんが言ってるよ!」

 と鏡花が言ってきたので

【宮都】ご飯の時間になったから食べてくる

【冬華】ちょうど私の家もご飯の時間です!それではまた

【宮都】おう!そんじゃ

 そうメッセージを冬華に送り終えると僕は夜ご飯を食べる。

 食べ終えると風呂の時間になるまで冬華とメッセージのやり取りをした。








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