第31話 冬華は二次元のキャラクターもだめらしい

 文化祭が始まると、僕は部活の先輩から連絡があるまで待機場所で冬華を太ももの上に乗せて冬華の頭を撫でながら、たまに後ろから抱きついたりして過ごすことに。

 そんな感じで過ごしていると、綾川あやかわ先輩から

「宮都君の書いた小説が人気になりすぎてやばいんだけど、お前のことを出せと言ってきてるやつが何人もいるから来なくていい!」

 とメッセージが来た。

 冬華が「誰からですか?」と聞いてきたので綾川先輩からのメッセージを見せると

「絶対に行ってはいけませんよ?」

 と怖い顔で言われた。


 少しすると、青筋が浮かび上がるほどキレている彼女さんと、すばるが来た。

「なんで、女の接客ばかりするだよ!しかも褒められただけで鼻の下伸ばしやがって!ばっかじゃねぇの?!私にかわれって何回も言ったろうが!しかも、他校の女に告白されてるし!」

「いや、お前のこと呼ぼうとしたんだけど「ねぇ、接客する人かわるの?ねぇ、私の接客してよ。」って言われたんだよ?!どうしたら良かったのさ」

「わかった。なら、明日は私はスー君から離れない。これで解決ね?いいよね?」

「はい…」

 やっと痴話喧嘩が終わったとほっとしていると冬華が

「痴話喧嘩は終わりましたか?」

 と思っていたことを言う。

「終わったよ!冬華ちゃんはどうやって彼氏さんに女を近づかせないようにしてる?」

「出かける時はいつも一緒に行くようにしています。あとは、女が出るイベント又は女が集まるイベントには行かせないようにしています」

 と言うと「冬華ちゃん、さすが!」と言う。僕は初めて聞いたんだが。

 しばらくするとお腹がすいたのでご飯を食べることに。

 昴はトイレを装い屋台に行こうと試みるが

「すー君?」

 と彼女さんが怒気を込めて言うと

「はい…。すみません」

 と言って隣に座る。もうあきらめろよといいたい。

 俺は飲み物が無くなったので、

「飲み物買ってくる」

 と冬華に言うと

「なんでですか?」

 と聞かれたので

「飲み物がなくなったから買いに行きたいなと」

 と言うと、水筒を出してコップに注いで

「はい、どうぞ。お茶です」

 と言って渡してきたので「ありがとう」と言って飲むと、苦みも少なくおいしかった。

 そのあと、冬華と昼ご飯を食べた。使った材料は高級食材ではなくそこら辺のスーパーで買った物なのにこんなにおいしくなるなんてと感動しながら食べた。

 昴も彼女さんが作った料理を食べているが

「屋台の焼きそば、焼き鳥、ポテトが食べたい」

 と言いながら食べていた。そのことに彼女さんは

「ダーメ!他の女が作ったものは食べさせませーん。残念でした!」

 と言っていた。


 昼ご飯を食べ終わると昴が

「トイレ行ってくる!」

 と言って教室を出ていくが、彼女さんは席に座ったままだったので

「いいんですか?ついて行かなくて。」

 と僕が聞くと

「はい!スー君の居場所はわかってますから」

 といい笑顔で答えてくれた。

 数分後、昴がトイレから帰ってくると彼女さんが

「えらいね~!どこにもよらずに帰ってこれるなんて」

 と犬をほめるように昴をほめる。

 冬華の方を見てみると

「私も…、いえ。ですが…、う~ん」

 と何かを呟いていたようだったが、明瞭には聞こえなかった。

 そうしていると、急に昴が僕の方に近づいてきて

「なあ、このゲーム、一緒にやらないか?」

 とスマホの画面を見せてくる。ゲーム名は[妹冒険譚]と言う名前だった。

「どんなゲーム?」

 と聞くと

「世界に散らばる妹たちを助けるゲームだよ!」

 と言ったのでインストールすることに。

 やってみると、かわいいキャラクターが沢山いて癒された。特に「ユーン」というキャラクターが好きになった。好きになった理由は、恥ずかしがり屋なところと、ボイスが可愛かったからだ。

 ユーンを見てニヤニヤしながらゲームをやっていると、冬華が画面を覗き込みながら

「なにをやっているんですか?」

 と聞かれたので、冬華の方を見ると僕のスマホの画面を凝視していた。そして僕と目が合うと

「へ~、宮都は「お兄ちゃん」と呼ばれたいのですか。今から私も「お兄ちゃん」と呼びましょうか。では早速」

 と言うと

「お兄ちゃん。そのゲームをアンインストールしてほしいな。私、お兄ちゃんがそのキャラクターを見て、ニヤニヤしていると不快になってしまいます。トリックオアトリート!アンインストールしてくれなきゃ大声で泣くぞ、ですお兄ちゃん」

 と冬華が言ってきたので

「すみませんでした。アンインストールするので元に戻ってください。お願いします」

 と謝ると

「わかりました!では、早速アンインストールを私の目の前でしてください。」

 と笑顔で言ってきた。でも、この笑顔は冬華がキレているときの笑顔だった。だって、口元がピクピクしているからだ。

 アンインストールし終わったあと、昴の方を見ると、彼女さんが昴のスマホの画面を後ろに立って凝視していた。

 しばらくすると

「お兄ちゃん、そのゲームを今すぐアンインストールしてほしいな♪いやだと言ったら私がお兄ちゃんの代わりにアンインストールしてあげる♪だから早くアンインストールすることをお勧めするよ♪」

 と彼女さんがミュージカル風に言った。それを聞いた時の昴はすごく震えて、顔を真っ青にして、

「い、いい、いいだろ。に、二次元の、い、妹が、ほ、欲しかったんだ」

 と昴が言うと、彼女さんは地声に戻り、

「じゃあ、ここで二択の質問ね。今二次元の可愛い妹を選んで私を絶望させて自暴自棄にさせるか、このゲームをアンインストールして私と高校卒業後に結婚するか。どっちがいい?」

 と昴に聞くと

「後者の「ゲームをアンインストールして私と高校卒業後に結婚する」です!」

 と即答すると

「だよね!だったらアンインストールして」

 と彼女さんが言うと

「宮都もやってるぞ!」

 と昴が僕のことを巻き込んできたが

「彼女さん、宮都はきちんと私の目の前でアンインストールをしました。なのでその言葉は無視していいです」

 と冬華が彼女さんに言うと

「さすが、冬華ちゃんの彼氏!いいね!」

 と彼女さんに褒められた。



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