第30話 朝から昴と昴の彼女さんは騒がしい

 文化祭1日目。冬華が家に迎えにきていつも通りに一緒に学校に話しながら行く。途中で由希ゆき先輩と偶然合流したので一緒に行く。

 その時に由希先輩はあのあと、親に今までのことを相談したんだって。

 そうしたらいじめの加害者は次の日にはいなくなったんだって。

 話し終わると冬華と由希先輩が

「「あはははは!」」

 と声をあげて笑っていた。


 学校に着くと、由希先輩と別れて待機場所に行く。

 すると、昴が同人誌を読んでいた。僕に気がつくと

「なあなあ、このキャラ、可愛くね?そう思うよな?」

 と話しかけてきたので

「どんなところが?」

 と聞くと、

「まずは、実妹でブラコンってところだな。次にヤンデレってところ。最後は黒髪で清楚系というところだな!」

 と言い終わると

「すー君がそんな女の子が好みだったなんて…」

 彼女さんが愕然とした表情をして言う。昴が

「2次元は許容してくれるんじゃないの?!」

 と言うと

「うん。。そのキャラはどう見ても私とは似ても似つかないよね?だから、だーめ。没収。あとでお金はあげるよ」

 と言うと、

「嫌だよ!渡さない。これは絶対に!」

 と言って昴は鞄の中に入れて抵抗する。

 すると、

「教育が必要なのかな?すー君」

 と、怒気を込めて言うと

「ミスコンを見に行かせないと言うから、昨日買いに行ったんだよ!秋葉に!これを見て気を紛らわすために!」

 と応戦すると

「何度も言ったよな?私の家に行ったらコスプレでもなんでもしてあげると。昴は私だけを見てればいいんだよ!そしてなんで勝手に1人で出かけてんだ?」

 とついに彼女さんがキレた。みんなは怯えている。

 数分間膠着状態が続いたが

「うう、渡すよ。でも!帰ったら巫女のコスプレと和と洋のメイドのコスプレをしろ!これが妥協案だ!」

 と彼女さんに言うと

「いいよ。今、通販で頼むから、明日ね」

 と言いながらスマホを使って頼んでいた。頼み終わると同人誌は鞄の中から没収され、昴の目の前で無惨に破り捨てられた。その時の昴は「あ、ああ。俺の精神安定剤が…」と言って涙を流していた。

 冬華は

「宮都の荷物を拝見しましたが何もありませんでした。良かったです。まぁ、当然のことですが」

 と誇らしげに言っていたので

「もし、昴が持っていたような同人誌を持ってるとしたら?」

 と興味本位で聞いてみると

「彼女さんと同じく、目の前で破り捨てます。そして、徹底的に買うものを制限しますし、今の時代はデータとしても持ち歩けるのでスマホの中も調査しますね。そのあと、家に行って家宅捜索をします」

 とにこやかな笑顔で言っていたので買わないようにしようと思った。


 彼女さんと昴の修羅場が終わったあと、彼女さんと冬華がトイレに行った。すると、懲りない昴が

「時間があるときにでも、一緒に出かけないか?同人誌を買ったあとはメイド喫茶でご飯を食べながらメイドさんを拝もうぜ!な、いいだろ?」

 と誘ってきた。

「お前学習しない奴だな。僕は行かないよ」

「宮都がいると怒られる時間と規模が半減されるんだよ!いいだろ?な?後生だよ!」

 昴が頼み込んできたので

「普通にバレるだろ」

 僕が言うと

「バレない!安心しろ!」

 昴が言うと丁度トイレから帰ってきた彼女さんが

「何がバレない!安心しろ!なの?ねぇ、冬華ちゃん、あなたの彼氏さんから昴が何を言ったのか聞き出して!」

 そう言うと昴の彼女さんと一緒にトイレに行っていた冬華が僕のところに来て

「私に内緒でどこかに行くつもりなんですか?私の彼氏の宮都に限ってそんなことは無いですよね?」

 と言ってきたが、昴が小声で「言うなよ?」と言っていたので黙り込む。すると、

「その無言は肯定とみなしますがいいですか?」

 と無表情で言ってきたので、怖くて小声で「すまん、昴」といい

「実を言うと、昴が僕に「同人誌を買ったあとにメイド喫茶に行ってメイドさんを拝まないか?」と誘われました」

 と言うと

「だそうですよ?彼女さん」

 と冬華が言うと、

「ちょっと廊下でお話しようか。すー君」

 とにこやかな笑顔をして連行されていった。その時の昴の顔が真っ青になっていた。少しは反省しろと言いたい。

 冬華は

「メイドさんですか。宮都は好きなんですか?」

 と聞いてきたので

「う〜ん。好きと言われたらわからないな。会ったことないし。メイド喫茶に行けばわかるのかな?」

 と言うと、

「それはどういうところですか?」

 と聞いてきたので

「女性のスタッフが沢山いて、行くと「おかえりなさいませ、ご主人様!」と言って出迎えてくれるて、帰りに「行ってらっしゃいませ、ご主人様!」と言うことしかわからないな」

 と答えると

「そんなところに私の彼氏の宮都を行かせるわけないじゃないですか。隠れていこうものならスマホにGPSを入れますよ?」

 こちらもにこやかな笑みを浮かべて言ってきた。なので、

「じゃあ、文化祭のメイド喫茶はいいの?」

 と冗談半分で聞くと

「冗談でも泣きますよ?というか、私がそういうのいつでもやってあげますよ?」

 と言ったので

「すみません。からかいたかったんです。行きません」

 と言うと、

「それならいいんです。だけど、前みたく変な女にナンパされるかもなので一緒にいましょう。もちろん私も気を付けます」

 と話していると

「宮都!お前のせいで大変な目にあった!」

 と廊下でお話を終えた昴が戻ってきて言ってきたので

「もうお前は彼女さんとメイド喫茶にでも行けば解決じゃない?ついでに同人誌も彼女さんと買いに行けば?」

 と言うと

「買える同人誌が制限されるだろうが!」

 とツッコミを入れられたので、僕は

「昴が同人誌を買ったあとにメイド喫茶に行きたいらしいけど、一緒に行かないの?」

 昴のことを無視して彼女さんに聞いてみると、

「行きません。そんなところに行ったらすー君が変な女に目をつけられるでしょ?」

「何言ってんの?」という顔をして言われた。

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