第20話 由希先輩が泣き、冬華が驚く

 月曜日。いつも通りに準備して午前7:00に由希ゆき先輩と冬華とうかが家に来て、一緒に学校に行く。

「由希先輩、風邪は治ったんですか?」

「うん!無事ね。手紙届けてくれてありがと。ところで、なんで後輩くんが手紙を届けたの?」

「なんか由希先輩の担任の先生らしき人がさ、由希先輩と仲のいい人を聞きまわったんだと。すると僕の名前しか出なかったんだってさ」

 僕が言うと由希先輩が一瞬暗い表情をしたあと明るい表情になり

「そうなんだ…。やっぱりそうだよね!うん!」

 と言う。

「おせっかいで言いますけど、教室にいにくかったり、いたくなかったら休み時間に僕のクラスに来ていいですよ?あと、自分がピンチの時助けるのが本当の友達と言うものだと撲は考えます」

 僕が言うと冬華も

「ですね。教室にいる間はクラスメイトを赤の他人として割り切るのがおすすめですよ?」

 と言った。

 何も反応がなかったので由希先輩を見ると声を出さずに泣いていた。なので由希先輩が落ち着くまで近くの公園のベンチで座っていることに。

 数分後、泣き終わると

「ごめんね。みっともない姿見せちゃって。こりゃ先輩失格だね!」

 と由希先輩が言ったあと、どこか悲しそうな表情をしていたので

「みっともなくないし、先輩失格でもありませんよ。泣きたいとき泣けばいいんですよ。それが人間ってものですよ」

 と僕が思ったことを伝えると、

「ありがと…、宮都」

 とお礼とともに初めて僕の名前を言った。しかも下の名前を。

 冬華は

「今日ぐらいはいいでしょう。見逃します」

 と渋い顔をして言っていた。

 学校につくと玄関での別れ際に

「本当に宮都君のクラスに行くから」

 と由希先輩が宣言した。後輩くんから宮都君に呼び方がちゃっかり変わっていた。


 教室につくと午前8:15だった。

 するとすばるに「遅かったじゃねーか!何があったんだ?」

 と聞かれたため、

「道に野良猫と雀と鳩がいてさ、冬華に無理を言ってその1匹と2羽の写真を取ってたら、遅くなった。でも、あとから見てみると、写真がぶれててさ、消したんだけど」

 と言うと

「宮都も動物が好きなんだな!動物好きには心優しい人しかいないんだよ!これで宮都は優しいと証明されたな!あははは!」

 昴は僕の背中を叩きながら言う。

 冬華は

「すごい対応力…」

 と驚いていたので僕は

「冬華もたくさんそういう場面に遭遇して慣れれば僕みたいにできるようになるよ。経験大事」

 僕は冬華に言うと「宮都が特殊なだけでは?」と返された。

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