第18話 冬華さん、世間話ぐらいいいじゃないですか

 放課後になったので、買い出しに行こうとすると由希ゆき先輩の担任の先生らしき人が来て

「これは鷲野わしのさんの家の地図。手紙を届けてほしいの。親しい人を聴きまわっていると宮都君の名前しか出てこないのよ。だからお願いできるかしら?」

 と頼まれた。

 なのでまず初めに由希先輩に家に行くことに。冬華の専属執事の車に乗って。

 由希先輩の家につくとチャイムを鳴らすと由希先輩に似ている女性が出てくる。

「は~い。今行きま~す」

「あら?あなたは誰かしら?」

「僕は由希さんと同じ部活の松平宮都まつだいらみやとです。あなたは由希ゆきさんのお母さんですか?」

 そう言うとおっとりとしていた声から弾んだ声に変わって

「そうです!あなたが由希がいつも家に帰ると楽しそうに話している宮都君なのね!いつも娘がお世話になってます!」

 由希先輩のお母さんが頭を下げる。

「いえいえい、お世話になっているのは僕の方ですよ。今日由希先輩が学校を休んだので、手紙を届けに来たのですが」

 僕は言いながら手紙を由希先輩のお母さんに渡す。

「あ~!そうなの!でも、ポストに入れておけばよかったんじゃないかしら?」

「文化祭の資料とか重要なものばかりでしたので手渡しの方が良いかと思いまして。」

 そう僕が答えると「気を使ってくれてありがとうね」と言うと「あ~、そうそう」と言うと続けて

「ところで、あの事故のけがは大丈夫なの?」

「まだ激しい運動は禁止されていますが、おおむね治りました。」

「よかったわねぇ。「家に上がって」って言いたいところなんだけど、由希が熱を出しちゃってね」

 由希のお母さんが申し訳なさそうに言うので

「ああ、大丈夫ですよ。このあと、僕は文化祭の買い出しに行かなければなりませんので」

「そうなの。これからも由希のことよろしくね?」

「わかりました」

 と言って会話を終了させて執事の車に戻ると、

「長時間何の話をしていたんですか?しかもあんなに楽しそうに」

 冬華とうかが拗ねていたので

「ただの世間話だよ。あと、会話はたのしいのが当たり前だろ?」

 と言うと

「それはそうですけど…。会話の詳しい内容が聞きたいんです」

 と言われたので

「手紙のことと、この前の事故のことだけかな。あと、由希先輩のお母さんが家に入って話したがってたな。断ったけど」

 僕が言うと

「そうなんですか。まあ、家の中に入ろうとしたら私が連れ戻します。強制的に」

 と冬華は強気の発言をした。


 そのあとはスーパー、百貨店を回り段ボールを冬華と協力してかき集め、文房具専門店に行き、黒ペンと絵具とのりを冬華と相談しながら購入した。

 この時、でかいのり5本と小さいのりがたくさん入っているお徳用を1袋買うかで2人で悩んだが

「両方買えば解決しない?」

 と僕の一言で解決した。

 買い終わり車に乗ると

「段ボールは誰が持っていきますか?」

 冬華が聞いてきた。

「今学校に置きに行けば解決しないか?」

「わかりました。執事聞いてましたよね?」

 と冬華が言うと

「はい、学校に向かいます」

 と言って車の運転を始めた。


 学校につくと、僕は教室に行って段ボールを自分の机の上に置いてきた。誰もいない教室は何か不思議な感じがした。

 そのあと家の目の前まで送ってもらった。家に着いたのが午後6:00だった。

 家で鏡花きょうかとゆったりしていると、海藤かいとうさんからメッセージがきた。

【海藤】私の買うものは買えました!宮都君は段ボール集まりましたか?

【宮都】うん。教室に置いてきた。

【海藤】冬華さんはどうですか?

【宮都】全部買えたよ。ただのりは大きいのとお徳用のを2つ買ったけど。

【海藤】問題はないです!手伝ってくれてありがとうございます!

【海藤】冬華にも言うんだぞ?

【海藤】はい!このあとメッセージで送ります!では、また来週!

【海藤】おう、また来週な。

 とメッセージを送信してやり取りを終えた。

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