The previous horse racing

世界三大〇〇

第102回 天皇賞 東京・芝2000M

ゲートが開く。さすがはGIレース、出遅れた馬はいない。


注目はグリーンの帽子、単枠指定のオグリキャップ。

好スタートからそのまま中団に位置取る。

第2コーナーは外をまわり、向正面に入ったところで前へ行く構えだ。


その前には4枠の2頭、ヤエノムテキとメジロアルダンがいる。

オサイチジョージもこの一団。バンブーメモリー武豊は後方に控える。




向正面で先頭に立ったのは1番のロングニュートリノ。

ダイユウサクが馬体を並べて2番手。

スーッと上がっていくのはマキバサイクロン。

連れて毎日王冠の覇者ラッキーゲランが外から先頭を窺う。


オグリの視界は向正面に入ったところで大きく広がる。

外を通ったのが功を奏し、悠々と真っ直ぐに駆ける。


内で窮屈にもがくオサイチがたまりかねて外に持ち出す。

空いたところに前進するヤエノとアルダン。

右前方にオグリを見て、虎視眈々。

赤い帽子のバンブーはさらに後方6・7番手。


3・4コーナー。馬群はターフで最も低い場所を通過。

ここからゴール手前までは上り坂。

先頭は依然、ロングニュートリノ。外に並んでラッキーゲラン。

その外にダイユウサク。さらにその外にマキバサイクロン。

先行馬が早くも横に広がって、大欅の向こうを通過。


オグリはその直後の5番手だが、4頭に割って入る隙間はない。

やむなく鞍上の増沢は大外をまわる決断をする。

前が壁になって抜け出せないままレースを終えるわけにはいかない。

単枠指定、断トツの1番人気を背負う本命馬の宿命だ。


対照的に気楽なヤエノ岡部は、またも空いたスペースに悠々と前進する。

オグリしか見ていないオサイチは1つ内へと切り込む。

コーナーが下手なアルダンが1馬身遅れるが、息を整え直線に賭ける構えだ。


4コーナーを曲がりきれば500メートル超の直線になる。

その手前、オグリは差なく3番手に並びかける。

だが先行馬をまとめてかわすほどの勢いはない。オグリはいつ抜け出すのか?




内の利を生かしてラッキーゲランが僅かに先頭で直線を向く。

逃げていたロングニュートリノは手前を変えられずにずるずると後退。

ダイユウサクは気力だけで粘っているがジリ貧状態。


8頭が横に大きく広がる。スタンドに1番近いところを走っているのがオグリ。

観衆はいつ抜け出すかに注目している。


これまでじっと我慢の岡部がポンポンポンッと鞭を振るう。

ロングニュートリノの後退で空いた穴目掛けて加速。

このレースではじめてオグリの前に出ると、一瞬で先頭に躍り出る。

2番手は差なく7頭が横一線。オグリはこの一団の大外でもがいている。


残り400。ラッキーゲランにマキバサイクロンと先行馬が力尽きていく。

オグリはよく粘り、結果的にはヤエノに次ぐ2番手。

追撃態勢に入れるか、どうか。




急坂を登り切ったところで2列目にいた2頭が順に馬群を抜け出す。

1頭目はバンブーメモリー。内のヤエノに並びたいが並べない。

2頭目はオサイチジョージ。オグリに狙いを定めて加速、馬体を合わせる。


残り200。

横幅の広い府中の直線で内と外とに分かれて、2頭ずつの攻防劇がはじまる。


内は名手ヤエノムテキと若武者武豊のバンブーメモリー。

ヤエノにバンブーがじりじりと差を詰める。その差は1馬身。

しかしこれは岡部の作戦で、ギリギリまで引きつけたところで再加速。

もう1度バンブーを2馬身突き放し、内の攻防はヤエノムテキが前で決する。


外ではオサイチが楽にオグリに並んだあと、抜き去ることができずにいる。

必死に追っても粘りに粘るオグリが簡単には前を譲らない。2頭の並走が続く。




残り100。前4頭の真ん中に飛び込んできたのがメジロアルダン、凄い脚だ。

3頭をまとめてかわすと、内で逃げ粘るヤエノムテキ目掛けて大きく飛ぶ。

バンブーはそのまま。オサイチ・オグリは満身創痍か。


残り50。アルダンの大きな馬体がヤエノを追い詰める。

ヤエノは冷静な岡部からの鞭を受けての逃げ切り体勢。

横山典弘がアルダンの首を思いっきり押して、その差半馬身と迫る。


残り10。アルダンの勢いは止まらない。ヤエノとの差はクビ。

1完歩先でヤエノムテキとメジロアルダンの4枠2頭が並んでゴールイン。




掲示板はあっさりとヤエノムテキの先着を表示。勝ち時計は1分58秒2。

2着メジロアルダン。3着バンブーメモリー。4着オサイチジョージ。

オグリキャップは最後に古豪ランニングフリーにも抜かれて6着。

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