あの人のもとへ

「ダメぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」


 ガバッ!


「はあっ、はあっ、はあっ…………」


 ゆ、夢……………?


「あ、目を覚ましたのね」


「美梨音…………さん?」


「全く、貴方に怪我もなにも無くて良かったわ。それにしても、ご両親に話さなくちゃいけない事が沢山あるのに、電話が全く繋がらないのよね…………」


「そんな事はどうでもいいんです!唐太くんは?!唐太くんは無事なんですか?!」


「……………………………まだ、目を覚ましていないわ」


「っ!」


「出血が酷すぎて意識不明の重体らしいわ、目を覚ますかどうかは分からないって………」


「…………………………………やっぱり、私のせいだ」


 私がバカみたいなことしたから、私が守られてばかりだから、私が…………!


「それは違うわ」


「え…………?」


 そんなわけない…………唐太くんは私のせいであんな事に…………


「………………最初に大事おおごとに首を突っ込んだのは、小学校5年生の頃だったかしら?」


「……………………なにを、」


「1つ年上の女の子が男の子に虐められてたらしくてね、それを見つけて6年生の男の子5人と大喧嘩をしたのよ」


「………………………」


 唐太くんは、その時から唐太くんだったんだ……


「まあ、ひとつしか違わないとはいえさすがに多勢に無勢でね、追い払ったはいいんだけど左腕と右足、あばらが2本折れててねぇ………」


「え?!」


「流石にあの時はすごく焦ったものよ………」


 だろうなぁ………


「でも、あとでその光景を見ていた別の生徒が先生に報告したらしくてね、後日、校長室に呼び出されて、親と一緒に謝りに来たわ。あの時の陽久留の様子は今でも覚えてるわ…………」


 陽久留?


「ああ、陽久留っていうのは私達の娘で唐太の妹よ。それでね?陽久留は相手の生徒が入ってくるなり、校長室にあった灰皿でぶん殴ろうとしたのよ」


「はい?!」


「慌てて私が羽交い締めにして止めたけど、止めてなかったらあの子、本気で殴ってたわね」


「……………お兄ちゃんの事、大好きなんですね」


「あら、貴方もでしょ?」


「へっ?!なんで知って…………」


 って、ああ、あの時に言ってたか…………


「………………唐太なら、この病室の隣にいるわ」


「…………………私なんかが会っていいんですか?私のせいであんな事に鳴ったのに………」


「…………確かに、全部が全部貴方のせいじゃないとは言いきれないわ」


「っ………」


「でも、それに首を突っ込んだのはあの子だし、あの子は貴方のせいだとは思っていないと思うわ」


 そんな事………


「まぁ、その辺はあの子か起きてから聞いてみましょう、今は、会いに行きたいのでしょう?」


「………………………はい」


「なら、行ってきなさい。あの子も喜ぶはずだわ」


「………………はい!」











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

妹が兄に恋しちゃいけませんか?※義妹です 糖編撲 @gorilla4649

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ