第15話
共産主義国。
色々と改革に動いているが、一番激しく動いているのは権力争いだ。
ここ最近はずっと暗殺やら失脚やら物騒だった。
だが、ようやくフランス以外の政権が安定したようだ……安定した、よう、なのだが?
僕は報告書に上がってきた指導者たちの名前を見て首を傾げる。
なんか、知っている名前がかなり多かった。
ドイツの指導者がハインリヒ。
バルカン全土を手中に収めたオーストリア=ハンガリー二重帝国の後釜であるドナウ社会主義共和国連邦の指導者がヒトラー。
イタリア社会主義共和国の指導者がムッソリーニ。
ソビエト社会主義共和国連邦の指導者がスターリン。
ん?ん?ん?
めっちゃツッコミどころだらけ。
でも一番ツッコミどころなのはハインリヒ。お前だ。
認めよう。ヒトラー、ムッソリーニも。
だが、ハインリヒ・ヒムラー。
なぜお前が?おま、親衛隊やろ?お国のトップに立つような人間でもなければそんな能力もないだろう?
ハインリヒだけはどうしても信じられず、報告書を確認する。
あ、違うわ。英語読み間違えてる。
えー、なになに。
ハインリヒ・ブランドラー。
いや!誰そいつ!全然知らんやつ来たわ!
ハインリヒって書いてあったらヒムラーだと思うじゃん!
いや、別に指導者が誰かとは別にいいんだ。
……いや、いいのか?ヒトラーやで?ムッソリーニやで?お前らナチズムはどうしたの?なんで赤くなっているの?なんで共産主義者になっているの?
ヒトラー共産主義嫌いやったよな?
意味がわからない。
やっぱり歴史に名を残すような怪物はどんな世界であっても頭角を現すんだね。うん。意味がわからないよ。
……どうせスターリンは粛清を初め、ヒトラーは人種差別を初め、ムッソリーニ率いるイタリアはヘタリアして、フランスは高々と白旗を掲げるだろう。
それでも、それでも、それでも、
共産主義国のクソ野郎共の権力争いが終わりを迎えた。
これから持ち前の工業力を活かして軍拡を進めるだろう。
世界恐慌で苦しむ資本主義陣営を置き去りにしてなぁーッ!
何か。何か。何か。
対策を。対策を。対策を。
対策をたてなければ……。
僕がひとり悩んでいると、秘書くんが僕の扉を叩き、朗報を持ち込んでくれる。
イギリスから会談の要請。
今回のことを受けて何か対策を取りたいとのことだ。
実にありがたい。
僕は秘書くんにその会談の要請を受けるように指示した。
イギリスとの連携でなんとか出来るといいが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます