VS 口裂け女 〜依頼〜 03

影の男、吉良は続ける。


「この東京には三軒茶屋があります。どうしてそこではなく、ここ下町区に出現したのかは分からない。分からないのですが、私はある確信を持っています。」


吉良はどこからか紙の地図を持ち出してきた。


「ここからは他言無用でお願いします。無用な混乱は避けたいのです。」

そう言いながら、地図を机の上に広げた。


「これは下町区の地図です。にゅんよ様ならご存じかもしれませんが、ここ下町区は東京の守護として作られた、言わば呪術都市。そのためか、道路なども無理に通している部分があります。そうして恣意的につくられた道路のうち、三叉路になっている場所に印を付けると…。」


キッ、キッ、キッ。蛍光ペンが紙の上を走る音が響く。


几帳面な性格なのだろう。吉良は定規を使って三叉路に付けた印を結んでいる。


キッ。線を引く動きが止まった。


「これが下町区のT字路の正体です。」

地図上にはきれいな六芒星が描かれていた。


「この件、土御門家に聴いてみました。彼ら最初は否定していたのですが、私こう見えて諦めが悪い性質でして。根負けして話をしてくれましたよ。」


「おかしいわね。土御門家なら、六芒星ではなく五芒星、晴明判を使うのではなくて?」

にゅんよが口を挟む。


「おっしゃるとおりです。陰陽道ならばたしかに五芒星を使うでしょう。しかし今回は違う、六芒星を使っている。私もそこが気になって聞き込みをしたのですよ。そしてわかったのは、陰陽道ではなく西洋の、いわゆる黒魔術を使っているということなのです。」

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