第一章 VS ヒグマ ~プロローグ~

第一章 VS ヒグマ 01

ヒグマ。学名、ウルスス・アルクトス 。ウルススはラテン語でクマを、アルクトスはギリシャ語でクマを表す。熊の中の熊。それがヒグマだ。


にゅんよは北海道に来ていた。ここには、今世間を騒がせているヒグマがいる。


ヒグマは体格の個体差が大きい動物だ。それを決めるのは栄養。ヒグマは雑食だが、肉食の傾向が強い。北の大地でサケやマスなどを常食としてきたヒグマの中には、300キログラムを超すものもあった。このように、肥沃な大地は時折、規格外の生物を作り出す。


にゅんよがターゲットにしたのも、規格外の怪物。眉唾も含めて記録に残る熊の最大サイズは1134キログラム。1トンを超える。しかし今回の獲物は…。1500キログラム。体長はゆうに10メートルを超えると言われている。まさに自然が戯れに生み出した悪魔。


巨体にまかせて腕を振り回すだけで脅威なのである。それが、人里におりてきた。


時期は冬。本来なら冬眠している頃である。しかし、何かが奴を呼び起こした。冬の北海道、食べるものなどありはしない。ましてや、この巨体を満足させるだけの食料が確保できるはずがない。飢えを満たすためには、一線を越える必要があったのだ。

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