最終話 神様なんてロクでもない

――――――――半年後!!



「勝ったぁーー!!!! 終わったぁ!!!! ビクトリィーーーー!!!!」


 俺は感動のあまり右手でブイサインを高くかかげた。いやホント、マジで長く苦しい戦いだった……。

 気付けば、また神様の前にいる。魔王に勝利した直後、神様の前に戻されたんだ。


「おおーーーー!! ようやった! ようやったぞ! さすがはワシの孫!!」

「は……? じーさん?」

「あっ、やっべ……」

「今、孫って」


 後光がスゥと消えて、見覚えのある顔が出てくる。

 マジ? じいさんは一昨年死んだんだよな?


「……あのね、実はね? ワシね? 死んだ後に? 神様っちゅーのに? なったっぽいんじゃよ」

「っぽいって。どーゆーことだよ」

「いや何かワカランけどぉ、前任者っぽいのからぁ、このセカイをヨロシクーって言われちゃってぇ」


 ムカつくしゃべり方だな。かわいくなんかねーぞ。


「ま、そんなワケでぇ、魔神が攻めてきたからぁ? ワシの孫に? いっちょやらせてみっか? みたいな?」

「このジジイ~~!! マジでふざけんなよ!!」


 俺が胸ぐらにつかみかかると、じいさんは急に真顔に戻った。


「でもな、タケオ。これでお前にも努力の大切さが伝わったと思うんじゃよ。お前はやればできる子じゃ!」

「イイ話にしようとしてんじゃねぇぞ!!」


 俺は魔王も倒した渾身のローキックでじいさんの足に会心の一撃を食らわせる。


「うっぎゃぁ~~~~!!」

「こっちはガチで何度も死にそうな目にあったんだからなぁ!!」

「ナイスキック! ナイスキックじゃ! お前の足なら世界を獲れる!」


 じいさんはスネを押さえてゴロゴロ転がりながら親指を立てた。

 なんだかなぁ、もう……。


「じゃあな、じいさん! 二度と呼ぶなよ!」

「あいよぉ~! 元気でなぁ~~!!」



 そして俺はベッドで目を覚ます。

 はぁ~~~~~~~~~~、すっげぇしょーもない夢を見た。


 でもまぁ、努力の大切さか……。

 わかったよ、じいさん。あの世で安らかにな。





          ―――――― 終 ――――――

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勇者タケオの苦難 @odan

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