短い中にたっぷり濃密なクズと暴力とBL

 再会した幼なじみ同士、かつてのいじめっ子といじめられっ子の、帰郷の物語。

 シリアス、かつハードな現代ドラマです。
 男同士の関係性、強い執着のような何かを描いたお話。もちろんのこと、といってはなんですけど、いわゆるボーイズラブでもあります。

 いろいろ最高でした。お話そのものは非常にコンパクトなのですが、それだけに話の軸がキュッと引き締まっており、内容がまったくぶれない上に大変濃密なところがすごい。この読み応え!

 中でも好きなのは主人公の性格、このクズっぽさが文章からじわじわ滲み出るところ。
 いちいち「おまえ」のせいにしてみせるところとか、まさしく一人称体だからこその芸当だと思います。
 この嫌悪と共感が同時に来る素敵なクズっぷり……素敵……。

 シリアスな現代ドラマとして読んで美味しく、BLとしてもたまらないお出汁が効いてる、とても読み出のある作品でした。
 なんかもういろいろの比重がすごい。一文字あたりの内容の詰まりっぷり!