第2話 困った二人・・

私は2年前から35歳男性Sに憑いている。


Sには、最近、数十年ぶりに彼女、M子32歳ができた。


私は、真面目で安定志向の強いSの動向は、ほとんど心配していなかった。


彼女M子ともうまくやっていて、結婚も決まる雰囲気があった。


しかし、Sが付き合っている彼女M子に憑いている守護霊に問題があった。


M子の守護霊は私の前妻だった。


もし、SとM子が婚約したら、私たちは日々顔を付け合わせなくてはいけない。


私も、前妻もはっきり言って困っている。


SとM子は本当に仲が良く、お似合いのカップルだ。


新婚さんいらっしゃいにも出ちゃう感じがあるくらい。


特にM子は適齢期であり、最後のチャンスである。親心としては一緒にさせたいところだが・・。


私は悩んだ挙句、禁断の手を使った。


SとM子が街中を歩いているときに、意図的に占い師に出会わせ、別れるように仕向けてもらうことだった。


もちろん、占い師と私たち守護霊協会はグルである。


成功報酬も支払うつもりだ。


私は、Sに占いをしたいと思わせる念力を送った。


前妻からもM子に念力を送らせた。


見事二人は占い師につかまった。


占い師からは、二人の守護霊は悪霊が憑いていると告げてもらった。


別れなければ、二人の寿命が縮み、周囲にも不幸が続くと・・。


占い師は、2年後に別れる出来事があるとまで告げた。


そして、後は、二人が一緒にいるときに、様々な心霊現象を頻繁に演出した。

私と前妻は、必死で心霊現象を研究し協力し合った。


逆効果だった。


二人の関係は密になり、逆境を越えて一緒になろうと手を繋いだ。


数々の恐怖体験を乗り越えて、結婚してしまった。


私と前妻の離婚理由は、ポテチの食べ方だった。


手に付着した塩を舐めて、再びその手を袋に突っ込む習慣が前妻は許せなったらしい。


まぁ、それがきっかけではあるが、そもそも相性が合わなかったのかもしれない。


この二人を見ていると、お互いに譲り合い、かばい合い、協力して生きている。私たちは、夫婦という姿を二人から学んだ。少しずつ、私たちも、お互いを理解しようと努力するようになった。


もしかしたら、これは守護霊協会の企み?


守護霊協会の働く仲間たちを購読しているが、守護霊の再婚率は結構高いと書いてあった。


そういうことか!


再婚した場合は、守護霊協会から再婚見舞い金は出るのだろうか・・。


結婚2年目、SとM子は離婚した。


Sの魚の食べ方が気に入らなかったようだ。


M子は1歳になったばかりの子を連れて出て行った。


私は前妻と寄りを戻していたが、急な展開にあたふたした。


前妻とは今度は物理的に別れる羽目になった。


お互い寂しさが込み上げた。


多分、もう二度と会うことはないだろう。


あの占い師、本当に当てやがった!






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