守護霊日記

ビダイ物語

第1話 一命はとりとめましたが・・・

私は守護霊です。

ある人物を見守っています。

守護霊協会から派遣されそろそろ10年になります。

最近、守護霊の在り方について、悩むことが増えてきました。


私の担当は、性別は男性、職業は牧師、年齢は55歳です。


基本的には「よく見守っているな私」が現在の気持ちです。


緊急事態宣言中、よせばいいのに、夜な夜な近所のバーに飲みに行きました。

バーも時短営業のはずですが、そこは看板を降ろしたあとに、自主営業という堤で馴染のお客さんだけを集めていました。


私の担当はM様と呼びます。


M様は、翌日に教会の仕事があるくせに、「今日は花金(花の金曜日)だから、飲んじゃうぜー」と深酒をしました。


泥酔状態で、深夜2時ころ店を出ました。


千鳥足でその辺をフラフラしたかと思うと、歩道の縁石を枕に寝ました。

よく、道路に酔っ払いが寝ていて車に轢かれる事故は守護霊協会の月刊誌で読みます。


同じような状況になりました。


過去の事例からすると、事故を免れられなかったケースと回避できたケースは半々でした。


一番多かったのは、動物に股間を噛ませたことで、主人が目を覚まし回避できたというケースが多数でした。


私は、いびきをかいて寝ているM様に、近辺にいる動物に刺激を与え股間を噛ませる手段に出ました。


最近、野良猫や野良犬が激減しています。


一か八かで、ドブネズミに働きかけました。


ドブネズミだって、ここで主人の命を救えば、神ネズミです。


しかし、失敗しました。


ネズミはM様の股間ではなく、耳をかじりました。


M様は「痛い!」と一瞬目覚めましたが、道路の中央まで転がっていきました。


私は終わったなと思いました。


もの凄い勢いでトラックがやってきました。


奇跡が起こりました。


M様の耳をかじったドブネズミが再びM様の元に駆け寄り股間を噛みました。


しかし、間に合いませんでした。


そこに横たわるのは、股間を噛みちぎられ、トラックに轢かれたM様でした。


一命はとり止めましたが・・・。


M教会牧師の謎の事故現場!  


私は精一杯やれることはやりました。


協会からは、深夜残業手当が支給されました。









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