アンダーグラウンド・マトリクス

 発達した科学技術を保有する組織が、自らの文化・文明レベルよりも低い技術水準の組織に対する場合に気を付ける事。それは、リバースエンジニアリングされてしまう事である。

 だが、技術を解析され、それを活用する為には、それを理解出来るだけの教養が求められる。

 魔法により一部は近世と言って差し支えない程の文明が地表を席巻している惑星の科学技術では、どう足掻いてもリバースエンジニアリング出来ない技術がある。

 それは、生体工学の分野だ。


 リソスフィアフォーミングにより開発された地下。

 循環型人工環境建造物を地表から数えて一層目は、種々様々な重力圏活動を前提とした生体兵器の生産と維持を行う場所であった。

 高さ三十㎞の空間内には、生体兵器を生産する為の素材となる、様々な有機物が溶け込んだプルミンテル・ビテと呼ばれる、桃色とも紫色とも取れる粘性の高い液体が命の海の如く存在している。

 そして、陸地ではそのプルミンテル・ビテの海で生産された生体兵器が用意された環境下で日々を過ごしていた。


 プルミンテル・ビテの海の中には、生産用のナノマシンが数え切れない程放たれ、プルミンテル・ビテに溶けている有機物を材料に、日々送られてくる指示に従い生体兵器達を生産している。

 ここ循環型人工環境建造物地下一層は、言うなれば地下世界に存在する子宮と言っても良い環境だ。

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