第24話

 ぽっかりとあった開いた神殿の入り口から俺たちは中に侵入する。

 中に光源らしいものはないが所々天井に穴などが開いていて光が入っているのでそれなりに中は確認できた。


 やはりモンスターの類は見当たらない、左右に立ち並んでいる柱があるだけで内装もどことなく神殿っぽい感じだ。


「ちょっと待っててくれ、念のためゴーレムを先行させて本当に何もないのか確認するから、ゴーレム クリエイト」


 俺は小さめのスネークゴーレムも大量に量産し神殿の中に解き放った。モゾモゾと移動する大量のスネークゴーレムたち……出した俺が言うのもなんだが大変キモい。


 大きさが太めのミミズサイズだしここ薄暗いからそう意識するともうミミズにしか見えない。すまんスネークゴーレムたちよ…。

 しばらくしても特に問題らしい問題は発生しなかった。


「どうやら本当に罠はないらしいな、よしっそれじゃあ中に入るか」


「そうだな、しかし罠の一つもないのなら本当にお宝の類なんてないのかもしれんぞ」


「その時はその時さそもそも偶然に見つけた場所だしそこまで期待なんてしてないぞ」


 個人的にはなんかこういう冒険というか探検というか、こういうことができること自体がなんか面白そうだと感じていた。


 子供の頃に秘密基地とかを田舎では勝手に作ってた、そんな過去が人間だった頃の俺にはあったのさ。


 スネークゴーレムも中を探索させつつ俺たちも神殿の中を探索する。

 十分安全マージンの確保したので探索というよりはお散歩気分だな。


 そして神殿の探索をすることしばらく、俺たちは神殿の一番奥まで難なくどり着いた。


「やっぱり何もなかったな……」


 ミロットがすこし残念そうだ、クールな表情だが内心は何かしらの発見を期待してたのかもな、錬金術師って言っていたが冒険者の素質がありそうな褐色女子である。


 そうっ神殿の奥にも特になかった、単なる行き止まりだ、ただ一応大きめの祭壇っぽいものが設置されている。


 昔はこれで何かの儀式でもしてたんだろうか、まあ冒険なんて言うのはリアルだとこんなもんさ。

 ゲームみたいにダンジョンの奥に必ずお宝があるなんて言う方がご都合主義が過ぎるってもんだ。


「さてとそんじゃあ帰るか」

「……ちょっと待ってくれ」


 ミロットなヤツはまだ諦めていないらしい、祭壇の方へ近づくとベタベタと祭壇を触って何かを確認しているようだ。


 俺はしばらくその様子を観察する。

 するとミロットが何かに気づいたようだ。


「これはおそらく何らかの魔法がかけられている物だな」

「魔法が?」


「そうだこの祭壇のところに文字が書かれているだろう、おそらくこれは古代文字の呪文かなにかのはずだ」


 そんなもんがあるのか。俺も祭壇に近づいてみてみる、確かに文字っぽいものが見えると言われれば見えるような……ってかこれ。


「これが古代文字なのか?」

「おそらくな、魔力を持つものがこの呪文を唱えれば何か起こるかもしれないぞ」


 そんなバカな、いくらファンタジーな世界でもお前さ~~。

 俺はその文字をよくよく見てみて……そしてちょっと固まった。


 俺はこの世界の人間と当たり前に話をしこの世界の文字を当たり前のように読み書きできるが当然ながらここは異世界なんだ。


 日本語で文字は書いてないし日本語で言葉をやり取りしているわけでもない。それならなぜ問題なく俺が生活できるのか……それについてはまあ触れない方向でいくつもりだ、考えても仕方ないからな。


 そう俺は思っていた、しかしちょっとこれは…俺を目の前にある古代文字の呪文とやら、それは当たり前のように日本語。

 慣れ親しんだひらがなと漢字で書かれているいつものあれだった。

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