組み分け結果

『エルフレーダ・クローネリアを青の寮所属とする』


 便箋には、そう書いてあった。


「クルト様とエルフレーダ様が別のハウスだなんて! 絶対に何かの間違いですわ!」


 そう言って、アイーシャさんがどすどすと、大広間奥の教員たちの座っている場所へと向かおうとするので、止める。


「い、いいのです、アイーシャさん」

「いいはずありませんわ! フィアンセ同士が離れるなんて!」


 確かにびっくりだけど、一生会えないワケじゃないし。


「エルフレーダ。これには、きちんとした意味があるのじゃ」


 そこへ、一際目立つ服装をしたおばあさんが現れた。

 青赤黄色緑の四色を使ったとんがり帽子に、同じ配色のマントを羽織ったおばあさん。すっごい、派手。


「無論、最初はクルトと同じ赤にする予定でおった。しかし、最近のお前さんの行いを知らせてくれた者がおり、青色の方がふさわしいという結論に至ったのじゃ」


「私の、行い……」

「左様。最近は道行く人々にも声をかけ、従者の者にも穏やかに接していたと聞く。それを聞いて、こうすべきだと思ったのじゃ」

「学園長様、ハウスカラーに、そこまでの意味があるんですの!?」


 アイーシャさんが食ってかかっているけれど。

 この人が学園長! それにも驚いたけど、まさかの私の行いが所属のハウスまで変えてしまうとは想定外!


「ある。青は想像力、思いやり海や空のような、広い、大きな心を持つという意味がある。他にも様々あるのじゃがな。じゃが、そういった部分でお前さんは青じゃろうと思ったのじゃ。無論、不満なら赤にしようぞ」

「……」


 少し悩んだ。それから、アイーシャさんに向き直った。


「アイーシャさんは、どこの寮ですか」

「あたくしは、青でしたわ」

「それなら、青のままがよいです」

「え……」


 赤の寮所属の世界線だと、このアイーシャさんとは仲良くなれなかったし、話す機会もなかったかもしれない。だけど今、私はこうして、彼女とお話してる。

 きっとこれも何かのご縁だ。


「そちらのお二方も、青なんでしょう?」


 騎士のお兄さんとフードのお兄さんに声をかけると、彼らも頷く。きっと、この同じ長テーブルにいる人たちみんな、青の寮所属予定の人たちなんだ。


 長テーブルの数は、四つ。ちょうど寮の数と同じだから。


「学園長様がお決めになられたのでしたら、それに従います」

「ちょっと待て!!!!」


 私がきっぱり言い切ったとき、待てが入った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

悪役令嬢プレイヤーになったので、好みのストーリーに書き換えます 工藤 流優空 @ruku_sousaku

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ