第11話 2人きりの図書室②

俺が座ったあと水瀬さんはまた本を読み始めた。

俺はというと特にする事も無かったので、貸し出しカードをペラペラと見ていた。

小学生の頃は2枚目に突入するほど借りている人がざらに居たけど高校生にもなると真っ白な人ばかりだなぁ……と思っていると、1枚だけ表裏びっしりと書かれているカードがあった。

誰なのか確認すると、やはり“水瀬真雪”だった。

勉強のために参考書か過去問題集あたりを借りているんだろうな、と感心しながら過去に借りた本の欄を確認すると、

“象でもわかる! 英語完璧マスター”というタイトルがお手本のような綺麗な字で書かれていた。

問題集には違いないけど……水瀬さん大丈夫か?

猿でもわかるならまだしも象は胡散臭すぎるだろ。

水瀬さんがよく分からなくなりながら、俺はさらに下の欄を見た。

“転生したら村人Aでした ⑴”

ん? これは確実に参考書ではない気がする。

転生に関する参考書とか厨二の気配しかしないし。

というか俺がよく読むラノベのタイトルにしか見えないのだか。

き、気のせいだよな、あの水瀬さんがラノベ読むわけ……ないよな?

もしかしたら誰かが間違えて水瀬さんのカードに書いてしまっただけかもしれないし、たぶんきっとそうだ。そう自分に言い聞かせていた。

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