第2話 初めましてこんにちは!家政"夫"です

「食事は7時12時19時。お風呂は20時から。

 お茶の時間は10時15時に必ず持っていってください。間食は欲しい時に言いますが毎日用意はしておいてください。

 あ、お茶を持って仕事部屋に行く時は少し気を使ってください。中でリモート会議とかしてることが多いですから。

 それから毎日昼と夕方に戸上という男性が書類を持ってきます。重要書類なのですぐさま、京介さんまで持っていってくださいね。

 それから………」


 家の中を案内しながら説明をしている和子の声がする。

 どうやら新しい家政婦が来たようだ。

 和子の声がいつもより高い。いい人そうなのだろう。

 京介は気にせず仕事をしていた。


ノックされ誰かが入ってきた

「京介様、失礼します。お茶をお持ちしました」

京介の机にあるカップを取り替える。


「ありがとう」

顔も見ないで京介は返事をする。


「あの……初めまして。今日から住み込みで家政"夫"をさせてもらいます清水康太と申します。よろしくお願いします。」


  !!!!!え?今なんて言った?

  コウタ???


 京介は慌てて顔を見る

 そこには25才くらいの男性が立っていた……


「家政婦???」


「はい、かせいふです、といっても家政婦のフは、婦人ではなく夫のほうですが……」


 はにかんだ様に笑ってみせる青年。

 そんな顔をすると25くらいかと思った年齢よりもさらに若そうにみえる。

 年齢などどうでもいい、そう!

 京介は慌てて和子のいるリビングへ


「え?え??あのえっと……えっと……ああああの……」


「アッハッハ、京ちゃん落ち着いて。

 驚いた?お母さんも話を聞いた時は驚いたのよ。

 初めて、初めてよ!初めて男性の家政夫さんが来てくれたの!

 よかったわー!これで安心して仕事できるわね!

 彼はね、清水康太さんと言って26歳。

 この仕事ももう長いんですって!

 力仕事も出来るし、色仕掛けもないからママは安心!

 嬉しいわー。

 あ、康太さん!

 職場恋愛は禁止ね!恋心はクビ対象だからいいわね?

 先日の家政婦にもちゃんとこのことを伝えてたのに、京ちゃんのこと好きになったみたいで辞めてもらったの。

 京ちゃんのこと好きになるのはわかるけどね……。

 こんなにいい男だもの。ね?

 でもほら、自宅で仕事するのにそんな気持ちの人がいたら困るじゃない?

 それに、京ちゃんにはしっかりとした人と結婚してほしいしね」


「はい。大丈夫です。聞いてます」


 京介は康太を見る。

 康太は黒目が見えないくらい、くしゃっとした笑顔で和子に返事をし京介の方をを見てきた。


「あ、それから京ちゃん!」

和子が話を続ける


「色々頼みやすいから住み込みを今回もお願いするんだけど、やっぱ家政"夫“さんだから、ママと同居の9階っていうのは、心配じゃない?

 だから今回は9階ではなくて、ここ10階の西の空き部屋を使ってもらおうかとおもってるの。

 今から早速片付けて明日からでも住んでもらうわね。

 ほら、その方が京ちゃんも何かと頼みやすいし。

 ウフッ 新しいお友達ができたと思って、ね?

 なんだか楽しくなりそうだわ」


「住み込み?しかもこの10階で?!え?えーーーーーー!

 聞いてないよー!俺のひとりの時間がー!」


 京介の絶叫など全く耳に入らない和子は早速、空き部屋の掃除へとむかったのでした。


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