第15話 独断潜行
大学の本郷キャンパスまではクリニックから徒歩で行ける距離。
二限の『場の量子論Ⅰ』の講義の時間までにはまだ少し余裕がある。
希は同じ世界に繰り返し降り立つことも多いが、あの〈
ミコト先生という女官が話していたホストの意識との併存。
希はそれを経験したことがある。ホストの自我を認識しつつ
自分の存在そのものが外界からの揺動となり
こうして世界を少しずつ改変することによってナギたちは世界の運命を変えようとしているのだろうかと思った。
理1号館中央棟のロビーのベンチに腰掛けると、希は楽な姿勢をで目を閉じた。
この時、瞼はほんの
緑や赤色の幾何学模様、オーロラ状の光、不規則なドット。自分の意識の外側から、情報が具現化されて脳に入り込んでくる。希はそれに集中して
意識が覚醒状態から変性意識状態へと移り変わり、地響きのような
希はあまり時間が経過していない今ならあの世界に辿り着きやすいと思った。行ける自信もある。希は物凄いスピードで降下していくと、緑色のグリッドを破壊してさらにその奥へと進入した。
眼下にまだあの世界の光景が残っている。希は一寸の迷いもなくそこに飛び降りた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます